【日本Sを読み解く】第5戦に感じた両指揮官の執念。後先考えない継投策、采配に応えたソフトBナイン
「SMBC日本シリーズ2018」第5戦が1日、ヤフオクドームで行われ、福岡ソフトバンクホークスが5-4で広島東洋カープにサヨナラ勝ち。本拠地3連勝でついに2年連続日本一に王手をかけた。1点の攻防が繰り広げられたこの試合の勝負のポイントはどこにあったのだろうか。
2018/11/02
両軍によるリスキーで決死の継投策
6番・内川聖一に送りバントを命じたのだ。
今季の内川はけがなどの離脱があって本来のパフォーマンスではないのは事実だ。この日本シリーズでも結果が出ていなかった。とはいえ、昨季の日本シリーズでは準MVPとも言える活躍を見せたヒットメーカーに対しての作戦は、指揮官の勝利への強いメッセージだったことに他ならなかった。
さらに5回表には、2死二塁のピンチを迎えると、先発の千賀に代えて、モイネロをマウンドに送ったのだった。
この采配には正直驚いた。クライマックスシリーズ(CS)に入ってから、工藤公康監督の継投策が積極的だったことは分かっていた。出し惜しみのない継投策は、指揮官の思い切りを感じる一方、12球団随一とされる選手層で勝負を賭けようという組織戦に持ち込もうとする姿勢さえ感じた。
だが、それは、指揮官が信じる選手層が持ちうる最大値を有しているからできるものだ。
開幕してから昨季の守護神サファテやセットアッパーの岩嵜翔が離脱したことはさておき、日本シリーズに入って、重要な役割を担っていた石川柊太が右肘痛で離脱していた。
その中で5回途中のエースの降板、継投策はややリスキーに思えた。
そして、それは失敗に終わる。
打者が広島のキーマン・丸佳浩だったこともあって、左腕のモイネロを投入したが、逆転の2点本塁打を浴びるという最悪の結果となってしまったのである。
ただ、決死の采配を見せてきたのは広島も同じだった。
その裏、内野安打2本と犠打で、1死二、三塁のピンチを招くと、先発の大瀬良を諦めて継投策に入った。
こちらも失敗に終わった。
3番グラシアルに死球を与えて1死満塁とすると、4番・柳田悠岐の投手ゴロの間に同点とされた。
そして、ここからは両指揮官のつばぜり合いが始まる。