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【日本Sを読み解く】第5戦に感じた両指揮官の執念。後先考えない継投策、采配に応えたソフトBナイン

「SMBC日本シリーズ2018」第5戦が1日、ヤフオクドームで行われ、福岡ソフトバンクホークスが5-4で広島東洋カープにサヨナラ勝ち。本拠地3連勝でついに2年連続日本一に王手をかけた。1点の攻防が繰り広げられたこの試合の勝負のポイントはどこにあったのだろうか。

2018/11/02

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フランスア投入で見えた緒方監督の意図

 6回表、工藤監督はマウンドに武田翔太を送り込んだ。第2先発としてこのシリーズはブルペンを任されているとはいえ、石川の離脱で試合終盤に近い起用が第4戦からの役回りだったが、1イニング早くマウンドに上がった。
 
 しかし、これも失敗。會澤に勝ち越しのソロ本塁打を浴びた。
 
 6回裏、広島も7回が専門のはずの一岡竜司をマウンドにあげたが、2死を取ったところで8番の今宮健太に左翼二塁打を浴び、9番・甲斐拓也に代打・長谷川勇也が送られると、セットアッパーのフランスアがマウンドにあがった。
 
 広島のブルペン陣におけるフランスアの役割は極めて重要だ。
 
 今季のフランスアはクローザーの中崎翔太につなぐセットアップを任され、8月には日本タイ記録の月間18試合に登板している。役割としては試合の終盤であるはずだ。それが6回2死からの登板だったことに緒方孝市監督の意図がはっきりと見えた。
 
 しかし、そのフランスアも、このピンチこそ乗り切ったが、7回裏、明石に一発を浴びて同点とされてしまう。結局、広島ベンチは9回裏1死までフランスアを引っ張った。
 
 そして、8回表、今度はソフトバンクベンチが2死を取っていた高橋礼に代わり、會澤を迎えたところで、クローザーの森唯斗を投入した。
 
 両者ともに決死の継投だった。翌日が移動日で休養になるということももちろん頭にあっただろう。だが、それにしても、この試合で全てが決まるわけではない中での先手先手の継投策には。両指揮官のこの試合への執念を感じずにはいられなかった。
 
 一つの負け越しがある広島はある意味では仕方がないかもしれない。五分に戻して広島に戻りたいと考えるのは当然のことだ。フランスアの登板が早くなり、かつ長いイニングであったのは事実だが、この時のためと言わんばかりに、この2試合は温存してきたというのもある。
 
 だが、ソフトバンクは違った。
 
 武田、モイネロ、森の3投手は第2戦以外全ての試合に登板してきた。この試合を落とせば、そのひずみがやってくることは簡単に予想がついた。
 
 それでも、この試合を落とさなかった。
 
 それがソフトバンクの強さなのか。第3戦に5失点を浴びた加治屋蓮が10回表を無失点で切り抜けると、その裏、先頭の柳田が右翼スタンドに試合を決着するサヨナラ本塁打を放った。
 
 工藤監督による決死の継投策は、この試合に限れば肯定されるというわけである。

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