DeNA扇の要を巡るバトル 高城、嶺井ら若手捕手の起用増の背景
ベイスターズの長年の課題は捕手を固定できない点にあった。毎年のように選手を獲得・補強しても、正捕手が現れない。そんな状況で、昨年ようやく黒羽根がその座を射止めた。今季も黒羽根中心で開幕したが、現在は高城や嶺井など若手にスタメン機会が増えてきた。
2015/04/30
ベースボールチャンネル編集部
若い捕手が攻守にわたり猛アピール
ベイスターズの投手の記録を見て、気になるのは暴投の多さだ。
チーム暴投数15は、リーグ最少の阪神、広島の4つの4倍近くの断トツのリーグトップで、暴投を2つ以上記録している投手9名のうち4名、そしてリーグトップの3つを記録している3名の井納、三嶋、山崎はいずれもベイスターズの投手となってしまっている。
暴投はもちろん投手が、捕手にとって捕球しにくいコースに投げてしまうのが原因ではあるものの、そういうコースのボールこそ後ろに逸らさず体全体を使って止めてほしいと思う場面があるのも確かだ。
スプリット、フォーク、チェンジアップなど落ちるボールを得意とする井納、久保、三嶋らがローテーションに入り、フォークのような変化を見せるツーシームを決め球にする山崎と、主力投手に落ちるボールを持ち味とする投手が揃っているだけに、この部分はチーム全体の課題として改善したい部分である。
表は、4月29日終了時点での各捕手別の守備イニング、失点率、暴投の割合である。
まだ高城、嶺井がマスクをかぶった守備イニングが多くはないので単純に比較するのは早計だが、嶺井がマスクをかぶったイニングでは暴投は記録されていないのは特筆すべき事柄だろう。
打撃面を見ても、黒羽根は今のところ打率.152、OPS.455と昨年成長を見せた打撃の真価を発揮していない。
逆に嶺井はプロ初ホームランを記録し、高城もノーステップ気味のフォームに改造して打率.417と打席数は少ないものの、数字以上に成長を感じさせる打席での内容を見せており、打撃でも黒羽根のアドバンテージを奪う勢いを見せている。
昨年故障もありながら109試合に出場し、リーグトップの盗塁阻止率を見せた黒羽根。
昨年3・4月、黒羽根が故障離脱したのも響いて、7勝18敗と大きく負け越したのを考えると、チームの底上げを図るためには、正捕手の座を虎視眈々と狙う、黒羽根の尻を叩く若手が二名も現れたのはむしろ好都合だろう。
高城・嶺井の快進撃がこのまま続くとは限らないし、黒羽根の巻き返しも十分期待できる。
DeNAの今後の順位争いとともに、扇の要を巡る争いからも目が離せなくなってきた。
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