西武・浅村栄斗、FA宣言で見せた球団への気遣い。いまが一番の“売り時”、大型二塁手をいかに評価するか
埼玉西武ライオンズの浅村栄斗内野手は7日、埼玉県所沢市内で国内フリーエージェント(FA)を行使すると表明。本人の口からから決断に至った経緯や球団への想いが伝えられた。
2018/11/08
氏原英明
プロ入りに不安を抱いていた高校3年の秋
当然の権利を手にしたはずの、浅村栄斗から球団への気遣いが感じられた。
「ライオンズに育ててもらって、この権利を獲得できたのは事実なので、感謝したいです。権利を行使はしましたけど、出て行くことを前提としたわけではなく他球団の意見を聞きたいという率直な思いがあって決断しました」
西武の主将・浅村がFA権の行使を表明した。
プロ入り10年目の今季は本塁打、安打、打点でキャリアハイをマークする活躍で、10年ぶりのリーグ優勝に貢献。クライマックスシリーズ(CS)終了後に熟慮して決断に至った。
球界に数少ない大型セカンドとして、浅村の評価が高くなっていくのは、自然の流れだろう。浅村のライバルに当たる広島東洋カープ・菊池涼介、東京ヤクルトスワローズ・山田哲人にはメジャー挑戦の可能性があるため、浅村の今後の動向は実に大きな意味をなす。
会見を聞きながら思い出したのは、浅村がプロ入り直前の高校3年秋、ドラフトを控えて不安な表情を見せていたときのことだ。
大阪桐蔭高野球部グラウンドにある小部屋でプロへの思いをたっぷり聞いた。その取材を終えると、「僕って、指名してもらえるんですか」と浅村が聞いてきたのだ。
滅多に自分の感情を出さない高校球児だったから、意外な逆取材だった。「不安なん?」と返すと、浅村はコクっと首を縦に振った。
3位以内――。不安を消す意味でそう答えたと記憶している。
しかし、高校2年の春に彼の存在を知ったものからすると、プロ入りしてからの彼の成長度には驚かざるを得ない。