源田壮亮は侍ジャパンの“切り札”となり得るか。短期決戦に必要な多様性、守備走塁のスペシャリストが放った輝き【日米野球】
「2018日米野球」第2戦は、侍ジャパンがMLBオールスターチームを圧倒して連勝を飾った。前日にサヨナラ弾を放った柳田悠岐外野手が好調をキープし、さらにこの日初スタメンに名を連ねた源田壮亮内野手がチームの勝利にしっかり貢献した。
2018/11/11
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前回WBCは田中広輔が存在感を発揮
ワールドベースボールクラシック(WBC)の過去2大会、そして、2015年のプレミア12では、遊撃手のポジションを坂本勇人、三塁を松田宣浩が担っていた。ほぼ不動のレギュラーといってよかったが、短期決戦では固定したメンバーの状態がどのように転ぶかわからない。
指揮官は集めたメンバーをどう勝利に導くかを考え、ラインアップを構成していく。ただ、実際に大会が始まってみると、思うように事が運ぶとは限らない。対戦相手の投手との相性によって戦い方を変えなければならない時もある。その場合、先発とバックアップメンバーを完全に分けてしまうと、いざというときに戦い方の修正が効かなくなるのだ。
2017年のWBCでは小久保裕紀監督が柔軟なラインアップを組んだ。
1次ラウンドを2連勝で飾った小久保監督は、第3戦の中国戦で田中広輔を1番・遊撃で抜擢した。2次リーグの進出が決定していたからの起用だったが、その田中は3打数2安打と気を吐いた。1回表に先頭打者として出塁して盗塁を決め、4番・筒香嘉智の適時打で先制ホームを踏んだ際には、新たなオプションとしての可能性を感じさせた。
そして、田中はそのままオランダ戦でも起用された。相手先発が日本でも活躍しているバンデンハークだったから、足を使おうと考えたのだ。結果的には田中が勝利に貢献したわけではなかった。だが、戦い方の柔軟性、ラインアップの多様性は短期決戦を戦う中で必要なものだと痛感させられた。
当時、田中は追加招集だった。もし控え組に「守備の人」というのを作ってしまっていたら、当時、広島の1番打者として高い出塁率でチームの勝利に貢献していた田中は、ピースとなり得なかっただろう。短期決戦の戦いにおいて、多様なオプションは必要になってくるのだ。
源田は、まさに、オプションになり得る。
稲葉監督は言う。
「源田選手はまず守備が非常によいと言うことから起用しています。また、打つ方でも西武打線の中で、秋山選手と1・2番コンビを組んでいて、2番打者として非常に打線を生かしている部分もある。今日は秋山―源田のつながりをしっかりやってほしいと考えました。(源田は)スチールもできますし、走攻守が揃っている。日本代表でもそういう活躍を期待しています」