源田壮亮は侍ジャパンの“切り札”となり得るか。短期決戦に必要な多様性、守備走塁のスペシャリストが放った輝き【日米野球】
「2018日米野球」第2戦は、侍ジャパンがMLBオールスターチームを圧倒して連勝を飾った。前日にサヨナラ弾を放った柳田悠岐外野手が好調をキープし、さらにこの日初スタメンに名を連ねた源田壮亮内野手がチームの勝利にしっかり貢献した。
2018/11/11
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塁上にいるだけで脅威を与える走塁技術
稲葉監督が言うよう、西武打線は1番の秋山翔吾のリードオフマンとしての存在感だけで成り立っているわけではない。この第2戦のようなケース、秋山が倒れた後に、源田がチャンスメークするという試合も少なくなく、また秋山が出塁した場合には、一、三塁の好機を作って、3番・浅村栄斗、4番・山川穂高につなげる役割を担っている。
さらに、源田は「盗塁」という強烈なメッセージを相手バッテリーに与えることができる。走ると見せかけて、相手投手にストレートを投げさせる彼の走塁技術は、塁上にいるだけで脅威の存在となるのだ。
浅村や山川の長打で源田がダイヤモンドを駆け回るというシーンは、今季のメットライフドームで幾度となく見られたシーンだ。
もっとも、守備・走塁に長けた選手は、代表チームだとベンチスタートを選択したくなる気持ちもわかる。いざという時に起用したいと思うと、どうしてもベンチにおいておきたくなるものだ。事実、第1戦の源田は9回裏の代走に起用されて、柳田のサヨナラ弾をアシストしている。
しかし、大会に入ると、選手の状態によって、あるいは相手投手によって「守備の人」は、それだけにとどまらない貴重なピースを担わなければならない時もある。
「特別なことをするのではなく、いつものように普通にプレーしようと思っていました。レギュラーを取るために今日は気持ち入れてとは思はなかったです。(起用されたところで)精一杯やろうと思います」
試合をそう振り返った源田のこの日は、ヒーローと呼ばれる活躍ではなかった。
だが、初回1死からの第1打席に源田らしい輝きを見せたことは、侍ジャパンに「守備・走塁のスペシャリスト」として君臨しつつも、ジョーカーとして、チームの打線をつなぐ潤滑油になれることを証明したとも言えるだろう。
「2番・遊撃、源田」
今季のパ・リーグをかき回した男が、侍ジャパンでもその怖さを見せてくれるに違いない。
氏原英明