一振り稼業のヒーローは、オリックス竹原直隆、DeNA後藤武敏。代打成績で見えてくるチーム事情【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、各チームの「代打成績」についてだ。
2015/05/01
一振りにかけるベテラン選手
では、代打の個人成績を見ていこう。両リーグともに代打起用数5回以上の全選手を打率順で並べる。
こちらもパリーグから見ていく。日本ハム、楽天には5回以上起用された代打がいない。
オリックスの竹原は4月10日の楽天戦で初めて代打に起用され、結果は三振。翌日も起用されて四球。この段階では目立つ存在ではなかったが、16日のソフトバンク戦の8回に代打で出て二塁打を打ってから4打席連続安打。しかも25日には3ラン、他の2本も二塁打と打ちまくっている。すべてが長打で6打点を稼いだ。これは驚異的だ。
ソフトバンクは右の高田、塚田、左の明石、吉村がすべて安打を放っている。ロッテの根元は無安打ではあるものの、四球を3つ選んで出塁した。
次にセリーグだ。
巨人の中井は29日は4番に抜擢された。代打での好成績も評価されたのだろう。広島の天谷は、5安打に加え3四球で出塁率では1位。打率3位は小笠原で、4月14日時点では.714と高打率を残していた。ここから3打席凡退が続いたが、4月30日は右翼線に二塁打を放ち、神通力は衰えていない。
ヤクルトの田中浩康は、7回起用されて1安打ながら4四球。今年は外野にコンバートされ、厳しいポジション争いをしているが与えられた機会できちんと仕事をしている。
そしてセリーグを代表する代打は、ゴメスことDeNAの後藤だろう。起用数も安打数も最多だ。代打本塁打も一発決めている。後藤は昨年も29打数11安打.379、出塁率.455をマークした。本拠地・横浜スタジアムでは、彼が打席に立つと大歓声が沸く。一振り稼業のプロなのだ。
福田は4打点。今季は森野が故障しているので、スタメン起用が多いが、3月29日の阪神戦で代打3ランを打って注目された。
阪神の関本は13回起用されて1安打、死球が2つある。関本は2009年には13死球を記録するなどもともと死球が多いが、打席では内角攻めを恐れることなく球に食らいついている。代打の役割は、安打を打つことと同時に「アウトにならない」ことも重要だ。これも一つの貢献ではないか。
こうして見ると、代打で活躍しているのはベテラン選手が多い。やはり一振りで結果を出すためには経験がモノを言うのだろう。
シーズンが深まってくると、代打からさらに新しいヒーローが出てくるはずだ。今後も注目したい。
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