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“最強捕手”モリーナ、衝撃の一発に見たMLBの高い技術力。侍Jバッテリーが得た成長の糧【日米野球】

「2018日米野球」第3戦は、MLBオールスターチームが日本代表「侍ジャパン」を7-3で下し、初白星を飾った。J.T.リアルミュート捕手、ヤディアー・モリーナ捕手の本塁打を放ち、その技術力の高さを知らしめる一戦となった。

2018/11/12

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若手の成長へ、選手にとっての日米野球の価値

 エキシビションゲームから好調のリアルミュートは、2番のモリーナと同じ捕手が本職。この2人を1・2番に並べ、それまで1番だったサンタナを3番に起用した。若手有望株としてこのシリーズで注目を浴びている2人、アクーニャJr.とソトを4・5番に並べてきた。
 
 その中でのモリーナの一発。
 
 試合後、モリーナのあまりの高い技術力での芸当に「このホームランはMLBでは常識なのか」とマッティングリー監督に尋ねると、指揮官は淡々とこう答えた。
 
 「メジャーでは逆方向のホームランは増えていると見ています。選手たちの体が大きく、強くなっているからだと思います。その表れで、逆方向へ大きな強い打球が飛んでいく。リアルミュートの3本は逆方向でしたし、モリーナも逆方向へ打ちました。(左打者の)ソトは2本レフトにホームランを打っています。メジャーリーグでは逆方向へのホームランというのがここ数年で増え続けている」
 
 日本側からしてみると、この経験こそが日米野球開催の価値だ。
 
 日本代表に選ばれた選手たちが、これまでとレベルの違う野球を体感することに意義がある。
 
 特に、今季ブレークしたばかりの若い選手たちには大きな経験になるだろう。稲葉篤紀監督は「4回裏のけん制死で流れが変わってしまった。あそこが全てだと思います」と4回裏の好機での上林の走塁を敗因に挙げた。だが、試合の流れではなく、打たれたこと、打てなかったこと、力の差を見せつけられたことにこそ、成長へのきっかけになるのだ。
 
 モリーナの信じられないような本塁打は、パ・リーグの今季バッテリー賞を獲得した若い2人にとって、負けたこと以上の価値がある。
 
 試合後の森の言葉からも読み取れる。捕手の中には、本塁打や失点を投手の失投、球種の少なさを打たれた原因にしてしまう選手もいる。だが、この日の森は責任を背負い、自身に言い聞かせるよう語っていた。
 
 「試合の中での失投はありますが、いろんな餌まきが必要です。失投を失投じゃないようにするのがキャッチャーとして大事だと思います。こういう世界と対戦することができて、配球という部分ではいろんなバリエーションを考えないといけない。自分の引き出しを増やして行きたいと思います」
 
 森はチームで正捕手に近い立ち居位置にいる。このオフには、チームメイトの炭谷銀仁朗がフリーエージェント(FA)権を行使し、移籍が濃厚との噂もある。炭谷の移籍は森にとって正捕手確保に向けて大きなアドバンテージとなるが、ここでの経験はきっと彼の中で「満足なリード」というのを取り払われるきっかけになりえるだろう。
 
 リーグ優勝して、順風満帆にシーズンが終わるのではなく、成長の糧をつかむ。世界レベルから浴びたホームランは彼の中に、大きなものをもたらしたに違いない。
 
 
氏原英明

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