目指すは完璧ではなく勝利。山﨑康晃が経験から得たクローザーとしての矜持【日米野球】
「2018日米野球」第4戦は、日本代表「侍ジャパン」が9回表、2点差を逆転。クローザー山﨑康晃投手がしっかりと最後を締め、MLBオールスターチームに勝利した。
2018/11/14
Getty Images
経験の重要性、プレッシャーを乗り越えた山﨑
「球種が少ない分、昨季の日本シリーズでは(内川さんに)はられてしまっていた。苦い思いをしていたので、こういう時こそ、神経を使って、低く丁寧に行くことを心がけていました」
ホスキンスはカウント2−2からの6球目。真ん中からやや外寄りのツーシームを低めに落として空振りの三振。続く8番のピラーに対しても6球のうちツーシームが4つ。2球で追い込んだ後、カウント3−2となって最後はツーシームでライトフライに抑えて締めた。
日米野球は絶対に勝たなければいけない試合ではない。
勝利チームに賞金がもたらされるとはいえ、ワールドベースボールクラシック(WBC)ほどの緊迫感があるわけではないし、侍ジャパンが金メダル獲得を目標とする五輪でもない。相手選手が本気で挑んでくる戦いではないのだ。
だが、そんな形の試合の中で何を見出していくかというと、試合の勝ち負けよりも、試合の流れの中で遭遇したプレッシャーがかかる場面をどう乗り切って行くかだ。この試合に勝利したからといって、どう変わるわけではないけれども、あらゆる場面を経験することは大事だということである。
山﨑の立場だと、チームのみんなが一体となってひっくり返した試合を台無しにしてはならない。即席のメンバーで構成されているMLBオールスターチームがセーフティースクイズを防いで来るとは考えにくいが、逆転された後の攻撃で牙を剥いてくることは想像できる。その場面を抑えるというプレッシャーは、やはりきつい。
山﨑はそれを乗り越えた。
「今日は丁寧に低く投げるということを表現できた。何年も侍ジャパンには招集してもらって経験をさせてもらっているので、今日のようなピッチングを続けていきたい。(クローザーとして)自分でどうありたいかというのは日に日に強くなってきました。これまでの経験を生かしてもっと強くなりたい」
この経験が、彼の中で血となり肉となり、骨となる。
侍ジャパンのクローザーとして君臨していくための大きな礎になったはずだ。
氏原英明