濱口遥大、岡田明丈がMLB打者との対戦で得た手応え。真っ向勝負で見えた課題【日米野球】
「2018日米野球」第5戦は、日本代表「侍ジャパン」がMLBオールスターチームを6-5の逆転勝利で下した。劣勢の状況で流れを変えたのは、2番手以降の投手たちだった。
2018/11/15
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「ストライクゾーン勝負」で見えてきた課題
ストライクゾーン勝負をするからこそ課題は見えてくる。
打たれるのは、何かが足りないからで、ボール球を使わないからではない。総じて、メジャーに強いボールを投げる投手が多いのは、どんどんストライクゾーン勝負をして課題と向き合っているからだろう。勝負をした先に人は成長していく。
濱口はいう。
「(ストライクゾーン勝負をして)現状のぼくの実力がわかってよかったのかなと思います。思い切って攻められたところもありましたし、ランナーを出してばたつくケースもありました。いい部分、悪い部分がはっきり出た。その中でも、シーズンで結果がでない中で取り組んでいたことは間違ってはいないと思えました。コントロールなど、いろんな部分で精度を上げていくという課題が見つかりましたし、それはチームに帰ってしっかり取り組んでいきたいと思います」
濱口がこの日、三振を奪ったのは、ワールドシリーズに出場していたヘルナンデス(ドジャース)今季リーグトップの192安打をマークしたメリフィールド(ロイヤルズ)ナリーグの新人王・アクーニャJr.(ブレーブス)今季34本塁打のホスキンス(フィリーズ)といった名だたる選手たちばかりだ。一方の岡田は史上3人目となる10代で20本塁打をマークしたソト(ナショナルズ)から151キロのストレートで押し込んで三振を奪っている。
もっとも、打たれもしたが、彼らは「nibbler」(=かじり取っていくようなピッチングをするような投手――)と呼ばれるようなスタイルではなく、ストライクゾーンで勝負していた。そのことは、この試合で勝ったこと以上に彼らの中に生まれたものは大きいのではないか。それは2人のあとを継いだ高梨、佐藤、松井も同様だ。
建山コーチはいう。
「投手は打たれないと覚えないので、勝負していくことによって、見えてきたところはあると思います。濱口や岡田ら今回招集したメンバーは若いですし、未来のある選手です。未完成な選手たちなので、こういうところからきっかけを掴んでもらいたいです」
この日の救援陣のピッチングが、この日米野球においてクローズアップされることはそうはないだろう。
だが、「ストライクゾーン勝負」をすることでメジャーリーガーと真剣勝負ができるという絶好の機会を得られたことは大きいだろう。
彼らの未来は明るい。
氏原英明