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中田翔の文章から伝わる強い思い――トライアウトに挑む西岡剛に見たプロの原点【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#89】

来季に向けて戦力を整えるオフシーズン。ファンが気がかりだった宮西、そして主砲・中田の残留に安堵したファンも多いだろう。

2018/11/18

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トライアウトが伝えてくれること

 スポーツ紙でも大きく取り上げられていたけれど、今年のトライアウトのひとつの見せ場は「成瀬善久vs西岡剛」の対決シーンだった。2010年ロッテ日本一(「史上最大の下克上」と呼ばれた)の立役者2人が、それぞれヤクルトと阪神という別々のユニホームでサバイバルを懸け、対戦した。そのめぐりあわせのドラマである。こんなストーリー、マンガだって描けない。中田はテレビに向かって声援を飛ばしていただろう。西岡は左中間に2塁打を放った。「よっしゃ~」、中田の声が聞こえてくるようだ。
 
 中田のインスタにはファンからのコメントが沢山付いたのだけど、ファン以外からはこんなコメントもあった。
 
「翔。俺も受けたよ。ねーねー!!!! まず、フォローバックしようか!」(hayato.arakaki28)
 
 ファイターズを戦力外になり、トライアウトを受けた新垣勇人からのツッコミだ。新垣と中田はポジションこそ投手と野手だが、仲がいい。おいおい、こっちの話もしろよ、という当然のツッコミだろう。ファイターズ組では他に高良一輝が受験して、2人ともまずまず持ち味が出せていた。行き先が決まるといいなぁ。
 
 12球団合同トライアウトはテレビ中継が入り、観客動員が見込めるような大イベントに成長した。様々な語られ方をする。「実際にはあそこで抑えたり打ったりすることには意味がなくて、選手個々の力量は各球団、既に調べ上げている」「あくまで本人の納得のためであり、実質は家族を呼んでの卒業式イベント」「熱心なファンに最後の姿を見てもらう合同引退セレモニー」etc。
 
 それはそれで一理あると僕も思う。会心のヒットを飛ばした選手の行き先が決まらず、ノーヒットだった選手が新天地を得る場合もよくある。ただあの場所にいる選手の必死さ、それを見守るご家族や身内、そしてファンの目線の切実さは疑うべくもない。中田翔はそこにプロの原点を見たのだ。プロ野球選手が野球をやれることは当たり前じゃない。それはあくまでひたむきに勝ち取るものなのだ。
 
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