帰ってきた吉見一起、「ナゴドで圧倒的な貯金」こそ竜のVロード
竜のエースがついに帰ってきた。トミー・ジョン手術から完全復活を目指す吉見一起は、ここまでの登板でわずか1失点と最高のスタートを切った。落合監督時代、ドラゴンズが優勝した年はナゴヤドームでの勝率が圧倒的だった。そして、そこにはいつもエース・吉見の姿があった。
2015/05/03
ここまでわずか1失点
天国のホーム、地獄のロード。
今年のドラゴンズの成績は極端だ。
31試合終えて、ホームのナゴヤドームでは13勝3敗、ビジターでは3勝12敗(5月1日現在)。ホームとビジターで、すさまじい格差が生まれている。
以前、『中日ドラゴンズあるある』という本に「ナゴヤドームでは負ける気がしないが、神宮球場では勝てる気がしない」と書いたことがある。2015年版を書くとするなら「ホームでは負ける気がしないが、ビジターでは勝てる気がしない」となるだろう。
事実、先日までのビジター6連戦は1勝5敗と苦しんだドラゴンズも、ナゴヤドームに帰ってくると、先週3タテをくらったDeNAをあっさり返り討ちにしてみせた。
難攻不落のナゴド城。
敵からしてみれば、そんな心境だろう。
ナゴドで敵を打ち倒す侍大将、それが今年復活した吉見一起だ。
5月1日のDeNA戦で先発した吉見は、調子が悪いながらも先週3試合で18失点と打ち込まれたDeNA打線を封じ込め、終わってみれば7回1失点。勝ち星こそ逃したものの、チームの勝利に見事貢献してみせた。
1回の1死一、二塁、5回の2死一、三塁、6回は1点取られた後の1死二、三塁という度重なるピンチを、それぞれ落ち着いて切り抜けてみせた。同点で迎えた終盤、7回1死三塁のピンチは、梶谷と筒香をそれぞれフルカウントにしてから連続三振に切ってとった。ストレートは140キロ台前半ながら、抜群の制球と投球術で相手打者を打ち取っていく。これぞまさにドラゴンズファンが待っていた吉見のピッチングだ。
「チームが勝てたのが何より。悪いなりに投げられたけど、自分で自分の首を絞めてしまったんで、次は同じことをしないようにしたい」
試合後、吉見の口から出るのは1点を取られた反省のみ。ああ、そういえばかつてのドラゴンズには「先発が3点取られたら2軍落ちして当然」みたいな雰囲気があったのを思い出す。そんな気持ち、ずっと忘れていたよ。