OBのコーチ復帰、ドラフト戦略……ベイスターズ編成トップが明かす、2019年シーズンへの戦力補強
横浜DeNAベイスターズの誕生以来、編成面においては高田繁ゼネラルマネージャー(GM)主導で行われてきた。その高田GMが今季限りで退任。来季はGM制を廃止して、三原一晃球団代表を中心にこれまでの役割を引き継いでいく。三原球団代表に、これからの決意と来季に向けた戦力補強についてお話を伺った。
2018/12/04
5位で益子を指名できたのは幸運
今季、20年ぶりのリーグ優勝を期待されたDeNAベイスターズだったが、蓋を開ければ3年ぶりのBクラス。編成のトップとして三原一晃球団代表は、この現状をどのように分析しているのか。
「結果を出すことができず申し訳なかったです。シーズン中のトレード(伊藤光など)は、ウィークポイントを補うためのものでした」
マネーゲームには参加しないとはいえ、やはり戦力補強は欠かせない。今オフには早速、巨人を戦力外となった内外野を守れるユーティリティーの中井大介、かつてDeNAに所属し、退団後BCリーグで結果を出した古村徹を獲得した。さらに外国人選手はホセ・ロペス、ネフタリ・ソト、スペンサー・パットン、エドウィン・エスコバー、エディソン・バリオスの残留が決まり、ジョー・ウィーランドとの契約は見送った。
「新外国人に関しては、調査を進めている段階(11月上旬現在)です。70人の支配下登録枠の関係もあるので、そこも含めて検討している最中です」
そしてチームの戦力の根幹をなすドラフトであるが、今年はショートとして評価の高かった小園海斗(報徳学園)を1位指名し抽選で逃したものの、外れ1位で上茶谷大河(東洋大)を獲得することに成功した。
「今年は1位、2位に関しては、どちらかが内野手で一方は即戦力投手が基本路線でした。小園を外した時点で上茶谷という判断には迷いはありませんでしたし、獲得できたことで2位の伊藤裕季也(立正大)などその後の指名を構成しやすくなりました。計画通りバランスの良い指名ができたのですが、とくに5位で益子京右(青藍泰斗)を指名できたのは大きかったですね。将来性の高いキャッチャーで評価が高く、私たちとしては幸運でした」
DeNA体制となり丸7年、毎年のように即戦力投手を中心としたドラフトを敢行しチーム力をアップしてきたが、一方で結果を出し背番号1に出世した桑原将志をひとつの成功例に、現在は投手の飯塚悟史、京山将弥といった若い選手たちがファームで鍛えられ一軍の舞台に立つようになっている。
高田GMは一軍の選手起用や戦術に対し一切の口出しをしなかったが、ファームに関しては“ここがフロントの腕の見せどころ”とばかりに綿密な計画を立て育成に力を入れてきた。編成トップとして旗振り役だった高田GMが退任した今、ファームに関しての権限はどのようになっているのか気になるところだ。
「当然ながらファームのことなので万永貴司監督が中心となります。高田GMがいたころと変わらず育成会議を定期的に行い、情報共有をしっかりとすること。各選手の状況を把握し、今後どのような指導をしていくか、細かく見ていくことになります。これまで以上に万永監督とコミュニケーションを取りいろいろと相談していく予定です」
また細かい話になるが、選手の登録抹消に関し、これまで一軍からファームへの降格はラミレス監督が判断し高田GMが承認、ファームから一軍へ上げる際は、高田GMが判断をしていた。このあたりの判断はどのようになるのか。
「登録抹消に関しては最終的に高田GMが承認する形でしたが、今季に関しては高田GMから私の方に相談があり、考察を深めてきました。来季も現場から“こうしたい”という希望があがってくれば、私の方で承認する形になると思います」
三原代表の判断にゆだねられる場面は当然多くなるが、自身の許容範囲外だとおぼしき事案についてはまわりと相談して組織で対応していく。野手のコンバートや投手の配置転換などがその例にあたる。
「とにかくチーム内の情報収集をしっかりとしておくこと。そうしないと間違った判断をしてしまう。細かくデータ収集をして分析をしておく。そこにどんなエッセンスを加えるかが本当に難しいところです。間違いを起こさぬよう、いろいろな方から話を聞きたいと思います」