捕手・石原慶幸との強い信頼関係が生み出す、カープ・ジョンソンの快投
現在、カープの先発陣をけん引しているのが、今季入団したジョンソンだ。開幕から自分の持ち味を発揮して、QS(クオリティースタート)を達成している。その背景には、捕手・石原への信頼と、日本野球に適応しようとする「柔軟性」があげられる。
2015/05/06
信頼できる捕手がいるからこそ
型にはまった投球パターンは求めない。異国の言葉や文化を壁にしない。目下、セリーグ防御率トップのクリス・ジョンソンの最大の武器は「柔軟性」かもしれない。
「言葉を壁にするのでなく、自分の方からチームに溶け込みたいです。ピッチングでは、カーブやスライダーを多く使いますが、ストレートの制球にも自信があります。状況に応じた攻めをしたい」
2006年、ボストン・レッドソックスにMLBドラフト1巡目で指名され、パイレーツやツインズでメジャーのマウンドを経験した。しかし、メジャーに定着はできず、勝ち星を挙げることもできなかった。
そして、今シーズン、新天地に活躍の場を求めた。
「私は打たせて取るタイプで、ゴロアウトを取っていく。早いカウントで打たせて球数を抑え、長いイニングを投げることを考えています。対戦を重ねる中で、日本の野球を学んでいきたいです」
やみくもにパワーに頼るわけではない。かたくなに自分のスタイルを押し通すわけではない。入団会見での言葉からも、日本野球への適応力を存分に感じさせてくれた。
異国での挑戦にあたり、彼が全幅の信頼を寄せるのが、14年目のベテラン捕手・石原慶幸である。ジョンソンは力説する。
「ここまでは、ひとえにイシハラのおかげです。彼の出すサインにはほとんど首を振っていません。プランは全て任せています」
彼の柔軟な心は、石原という捕手の経験に基づくリードにしっかり寄り添った。それに、ジョンソンの生命線である低めのコントロールを支えるのは、石原の安定したキャッチングである。
「ワンバウンドでも止めてくれるので、パスボールはないと思って、自信を持って低めに投げることができます」