オリ、コストパフォーマンス抜群のカラバイヨは、独立リーグ希望の星【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、低迷のオリックスで予想以上の活躍を見せているカラバイヨについてだ。
2015/05/08
MLB未経験のノンキャリアからはい上がる
カラバイヨが頭抜けているのは、コストパフォーマンスの良さだ。
25安打以上しているセ・パ両リーグ打者の1安打当たりの年俸ランキング。@は(安打数)÷(総年俸×(消化試合数÷143試合))
カラバイヨの1安打あたりの年俸は、9.5万円。プロ入り2年目の森友哉や田中広輔を抜いて1位だ。何しろ年俸は1000万円。ドラフト上位で指名される新人選手の1年目の年俸より安い。
それで中軸を打ち、打点も稼いでいるのだから、オリックスにとっては素晴らしい掘り出し物だ。
ちなみに阪神のマートンのこの数字は340.1万円になる。
カラバイヨの存在がなければ、オリックスは再起の糸口もつかめず、さらに低迷していたのではないかと思われる。
しかしカラバイヨはなぜこんなに低年俸なのか? それは、MLBに昇格できなかった“ノンキャリア”だからである。
キャリアSTATSを見てみよう。太字はリーグ最多だ。
ベネズエラ出身のカラバイヨは2001年にヒューストン・アストロズと契約し、傘下のマイナーチームでプレーした。しかし、6年経ってもMLBどころかAAAにも昇格できなかった。
長打力はあるのだが187cm・105kgという体重を見てもわかるように、守備が拙く走塁も下手。そして三振が多かった。
走攻守に優れた「5ツールプレイヤー」を重視するMLBでは、彼の評価は低かったのだ。
2008年にはMLBを離れて米独立リーグへ、さらに2009年には四国アイランドリーグPlusの高知に所属。
そしていきなり本塁打、打点の2冠王。翌年はBCリーグの群馬へ。ここでも2冠王を獲得してシーズン途中にオリックスに呼ばれた。
しかし、2010年に左手首を故障したこともあり、翌年早々に解雇された。