2019年開幕投手は誰? 上沢・有原のエース候補か、「誰も傷つけないロドリゲス」か【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#93】
栗山監督は昨シーズンの開幕投手にロドリゲスを起用した。その決断にファイターズファンは一様に驚いた。しかし、そこには栗山監督の意図があった。
2019/01/20
誰もが驚いた2018年開幕投手
去年の大みそか、のんびり仕事部屋をかたづけながら、radikoプレミアムでHBCラジオを聴いていたと思ってほしい。栗山特番だった。正式タイトルは『ファイターズ
DE ナイト! 2018年末スペシャル』。栗山英樹監督をスタジオに迎え、斉藤こずゑアナ、山内要一アナが聞き手を務める。もう、これが面白くならないわけがない。常にファイターズに呼吸を合わせ、放送の現場で踏ん張っているお二人だ。栗山監督は斉藤こずゑさんを「こずねぇ」と愛称で呼ぶ。スタジオはそういう関係性であり、距離感だ。
のっけから吉田輝星の起用法の話が出たりして、興味津々だった。栗山さんもすごくリラックスしていた。僕は脚立に乗って本棚の整理だ。面白いラジオは作業がはかどる。ところが話が上沢直之の話になって、手が止まりだし、最終的には「ええええっ、マジすか?」と脚立から落っこちそうになった。シーズン中、ずっと謎を抱えたまま、わからずにいたことがあっけなく氷解したのだ。
その謎は放っておいたら球団史のエポックとして、永遠の「?」になりかねないものだった。読者も一度ならず考えたことがあると思う。「なぜ、2018年シーズンの開幕投手はロドリゲスだったのか?」
奇策といえば奇策だ。新外国人投手だ。それもオープン戦で貫禄を見せつけたマルティネスではない。「変化球で腕が緩むね~」と評論家筋にも指摘されていた、未完成のロドリゲスのほうだった。
僕は開幕1、2戦先発が新外国人のロドリゲス&マルティネスだったんで、頭くらくらした。大谷翔平のMLB流出はそれほどの事態だったのだ。これはどうにかやりくりしながら、チームを整えていくシーズンなのだ。思えば2016年日本シリーズ1、2戦先発もクローザーも、中継ぎの柱も主戦捕手もチームから消えていた。
もちろん二刀流・大谷翔平は投打の要になるプレーヤーだが、こと開幕投手に話をしぼると、「ポスト大谷時代、ファイターズのエースは誰だ?」というテーマが浮上する。誰が中心になってローテが編成されるのか?
敵のエースとぶつかって名勝負を繰りひろげるのは、あるいは連敗ストッパーの役割を果たすのは一体誰だ?
それがどうも「不在」という回答だったようなのだ。もしくは「どうにかやりくりします」という回答か。僕はけっこうショックだった。で、開幕戦で敗れた後、ロドリゲスは長く2軍生活を送る。新エース候補は有原航平が有力と目されたが結果がともなわず、シーズン通して上沢直之、マルティネスの2人が「エース級」の活躍を見せる。