大谷翔平は打者の方が将来有望!? メジャーで本塁打王に輝く可能性も
プロの第一線で活躍する選手たちは、どのように体を動かしてピッチングやバッティングのフォームを構築し、結果を残しているのか。そのメカニズムを探るべく、筑波大学硬式野球部の監督で、投球や打撃フォームについて独自の解析・研究を行っている、筑波大学体育系准教授の川村卓さんに話を聞いた。今回のテーマは前回に引き続き、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平。前回は投手としての大谷にスポットを当てたが、今回は打者・大谷翔平をフォーカス。川村さんは、投手よりも打者としての大谷に大きな可能性を感じているという。
2015/05/17
ベースボールチャンネル編集部
体幹の角度がメジャーのパワーヒッターと同じ
私自身、実は打者としての大谷選手に大きな可能性を感じています。決して投手としての能力に問題があるというわけではなく、「今後、これほどの潜在能力を持ったバッターは、日本に現れないのではないか?」という思いがあるからです。
160キロのボールを投げるピッチャーは今後も数多く現れると思いますが、あれだけのバッティングセンスがあって、ボールを飛ばす力にも優れている日本人打者の出現を期待するのは難しい。もっといえば、MLBのチームでクリーンナップを打てる、本塁打王を狙えるほどのポテンシャルを感じています。
バッティングに関してはすごい技術を持っています。インサイドアウトという言葉がありますが、バットがグリップから出て行って、最後に返るというムダのない打ち方が自然とできているのです。
バッティングはどうしてもムダな力が入ってしまうもので、分かっていてもなかなかできない。簡単にいうと、力の抜きどころを分かっている選手です。持って生まれた素質やセンスと言ってしまえばそれまでですが、イチロー選手(マイアミ・マーリンズ)と同等に見えるほどです。
ピッチャーが投げたボールに対して、ギリギリまでグリップが出ていないように見えますが、その後一瞬でスイングを行っています。もちろん、ボール球に手を出してしまうなどの問題点はありますが、可能性という意味ではすごいものがありますね。
あとは、バットを振ったときの体幹、軸の角度ですね。大谷選手はホームランバッター特有の角度を持っています。メジャーも含めてたくさんのバッターを研究してきましたが、日本人選手の多くは、体の軸を地面に対して垂直で打つ傾向があります。埼玉西武の中村剛也選手なども、この形で打っています。
しかし、メジャーのパワーヒッターは体をやや後方に倒し、軸を斜め後ろに傾斜させて打ちます。ボールの下をとらえられるために、打球を高く上げることができるのです。こうしたメジャーのパワーヒッターと同じ体幹の角度を大谷選手は備えています。