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「パワーピッチャー」の守護神・松井裕樹は今、進化の真っ最中【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、楽天の新守護神としてここまで13試合無失点の好投を続けている松井裕樹についてだ。

2015/05/15

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パワーピッチャーの松井

 アウトの内訳に注目してほしい。松井は奪三振が非常に多い。そしてフライアウトとゴロアウトが同数の12。これは松井裕樹が「打たせて取る投手」ではなく「パワーピッチャー」だということを意味している。

「打たせて取る投手」は、低めに球を集めてゴロでアウトを稼ぐ。ゴロアウトがフライアウトの2倍以上になるのが普通だ。「パワーピッチャー」は三振を多く奪う。また高めの球でも勝負するので、フライアウトが多くなる。
「パワーピッチャー」が注意すべきは被本塁打だ。松井はここ2試合で4被安打3四球。少し状態が気がかりだ。プロでは不用意な球はスタンドに運ばれる。被安打6本のうち、4本は左打者。特に左のスラッガーには要注意だ。

 12球団のクローザーのデータを比較してみよう。赤字はベスト、青字はワーストだ。

広尾様0515表3

 DeNAの新人、山崎康晃が早くも16セーブ。登板数、投球回、投球数も1位。このペースで行くと年間81試合登板になる。夏場に差し掛かり、疲労やスタミナ面が心配になってくる。
 松井は登板数も投球回数も多くはないが、平均投球回は1.23で1位。回またぎが多いからだ。1回あたりの投球数、1打者あたりの投球数も1位。四球はワースト。粗削りであることは、ここからもうかがえる。
 長い夏を乗り切ることを考えれば、今後は球数を抑え、効率的な投球を心掛けるべきだろう。

 開幕から結果を残している松井裕樹だが、長く一線級の投手として活躍するために投球術を磨き、洗練されたクローザーに進化していってほしい。

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