野手最激戦区は「左打ちの外野手」。白村のコンバートは成功なるか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#96】
今季ファイターズ野手の最激戦区は、「左打ちの外野手」だ。その中に、キャンプ中に野手転向が決まった白村明弘が加わる。
2019/03/03
新たな「投手→野手」のコンバート成功例となるか
で、例えばの話、開幕スタメンがショート中島、セカンド石井だったと仮定しよう。2人とも左打者だ。サードの定位置を競ってる大田泰示、近藤健介、淺間大基のうち、コンスケと淺間が左打者。期待の2年目、清宮幸太郎が左打者。台湾のスーパースター、王柏融が左打者。レギュラー当確の西川遥輝が左打者。
練習試合を見ていて感じたのだが、やけに左打者が多いのだ。まぁ、それぞれにタイプも違うし、好打者は「左対左」を苦にしないから別に構わないんだけど、打線にズラッと左が並ぶのは特徴的なことだと思う。もしかするとスタメンに入る右打者は中田翔と大田泰示、そして石川亮(鶴岡慎也、黒羽根利規)の3人かもしれない。もし中田が出遅れたら2人きりかもしれない。
だからそこに割って入ろうとする左打ちの野手はハードルが上がってるなぁと思うのだ。例えば谷口雄也、例えば平沼翔太。一つきっかけがあれば1軍でバリバリやっておかしくない顔ぶれだ。が、その一つのきっかけを掴むのに苦労しそうじゃないか。監督さんには駒として右打ちの横尾や松本剛のほうが重宝がられる気がする。
そして、実はこの話がいちばんしたかったんだが、白村明弘である。今年のキャンプは、トリビアルなネタで言えば「白村が紅白戦で投げた3日後に野手転向したキャンプ」である。まさに最大のサプライズだった。また紅白戦が1回無失点だったからなぁ。
僕は中継ぎで50試合登板(1勝1敗13ホールド、防御率2.03)した2015年シーズン、文句なく白村が将来のクローザー候補だと思っていた。今回の野手転向は僕らファンも驚いたけど、本人も戸惑っただろう。ぜんぜん準備していない。グラブもバットも借り物だ。せめて秋のキャンプで言い渡されていれば、外野手用グラブもバットやバッティンググローブも、スライディングパンツも持っていっただろう。ていうかそのための自主トレも積んでいっただろう。
ファイターズには上田佳範や糸井嘉男といった「投手→野手」のコンバート成功例があり、栗山監督によれば白村の転向はかねて構想されていたらしい。僕がウワサを聞いたことがあるのは上原健太(抜群の身体能力。チーム1、2の隠れた俊足)のコンバート案だった。つまり、ファイターズにあっては決して常識外れなことではないと思う。
ただイバラの道であることは確かだ。白村は年齢も高い。しかも左打者なのだ。僕は白村が左右どっち打ちかなんて考えたこともなかった。映像で確認してハッとなった。白村は最激戦区「左打ちの外野手」に挑戦するのだ。
これは鎌ケ谷で応援するしかない。今年の鎌ケ谷は吉田輝星ら甲子園組ルーキーに加え、最難関、最激戦区に果敢に挑む白村明弘に注目だ。3月に入って1軍及び1.5軍はオープン戦で火花を散らすが、2軍は教育リーグである。ここにも野球のリアルがある。ここにも人間ドラマがある。
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