驚異の19歳――西武・森友哉が貫く〝フルスイング〟の生き様
弱冠19歳のプロ2年目でありながら、打撃でチームに貢献している埼玉西武ライオンズの森友哉。その背景には自身の打撃スタイルと同様、どんな状況に対しても逃げずに真っ向勝負で臨む〝フルスイング〟の生き様がある。
2015/05/16
どんな状況に対しても逃げない
これで、まだ弱冠19歳のプロ2年目なのだから本当に末恐ろしい。西武・森友哉のことである。15日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)こそ5打数無安打だったものの同日現在で打率.315(リーグ4位)、7本塁打(同6位)、20打点(同10位)をマーク。打撃3部門すべてでベスト10入りを果たしているだけでなく、長打率.580もリーグ2位と堂々の成績をマークしている。
身長170センチ、80キロの小兵ながらも常に全力でバットをぶんぶんと振り回す姿は「豆タンク」の呼称がふさわしい。決して恵まれていない体型にも関わらず、なぜ森はプロの世界においてこれだけのハイスピードで急進化を遂げているのか。その背景には自身の打撃スタイルと同様、どんな状況に対しても逃げずに真っ向勝負で臨む〝フルスイング〟の生き様がある。これが19歳の若武者の急成長を後押ししている大きな要因となっていることを見逃してはいけない。
それをあらわすエピソードがある。森の学生時代、いわゆる「ヤンチャ少年」であったのは球界関係者の間でも知られている。
この事実が明るみに出た時の森はとても潔かった。ルーキー時代の昨季。ネット上で中学生時代の集合写真が拡散して大きな話題となり、これについて報道陣から質問を受けると森はこう即答した。
「ネットに上がっている写真は本物です。あれ消去できないから仕方ないです。ヤンチャでしたけどそこまで悪いことはしてません」
考えてみてほしい。もし自分の〝振り返ってほしくない過去〟の写真がネット上、もしくは週刊誌などのメディアに出回れば、並の選手ならきっとダンマリを決め込んだり、必死になって否定したりするなど何らかの方法で火消しに躍起となるはずだ。だが森は否定するどころか、余計な弁解も一切せずに堂々と認めたのである。