吉田輝星、理想のビジョンはマエケン曲線? 「早く見たい」よりも「長く見たい」選手として育成を
北海道日本ハムファイターズの吉田輝星投手が12日、対外試合デビューを果たした。キレのあるストレートを武器に1回を無失点に抑える好投をみせたが、即1軍というわけではない。ゴールデンルーキーの理想となる育成ビジョンは、メジャーリーガー前田健太投手が歩んだ軌跡にある。
2019/03/13
真の技術力はこれから
一方の吉田は、ストレートの質が高いのは事実だ。この日も、押し込んでファールを取れていたし、空振りがいくつもあった。また、走者を出してからの間合いの取り方などを見ても実践派の投手だと感じる部分もあった。しかし、もともと変化球のキレがそれほど高いレベルにあったわけではなく、加えて、キャンプ中に肘痛を患っている。報道などでは6月の1軍デビューというビジョンもあるそうだが、1軍の選手層を鑑みれば、そう急かす必要はないだろう。
「下半身が強く、体幹はプロの選手と引けを取らない」というのがファーム首脳陣の評価という。高卒1年目のルーキーとは思えないところはあるが、真の技術力はこれから身に着けるといった段階だ。
体が強くなればなるほど、技術は上がる。前田健太が年々球種を増やしていったような成長曲線は、吉田がこれからさらに体を強くすることで、描けるだろう。そうなった時に、球種も増えて、バッターをなぎ倒すような投手になる。
「ストレートでファールを取った後に、変化球を投げて、それでもファールを取る事ができれば、次に投げる強いストレートをもっと速く見せることができる。また、ストレート2球でファールを取れたら、今度は落として、空振りを取るというピッチングができると思う。でも、今は、肘を痛めて休めていた期間があったのもあって、ピッチング練習から思うように変化球が投げられていない。そこをしっかり治せればと思う」
ピッチャーとしての将来設計を尋ねると、吉田はそう答えた。今後、自身がどうなっていくべきかのイメージはできているのだろう。
だからこそ、急がず、慌てず。4年目で沢村賞を獲得した前田をイメージしてほしいものだ。
氏原英明