清宮幸太郎とは違う吉田輝星フィーバー。焦らず急かさず、一歩ずつプロの階段を【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#97】
公式発表、1306人。大勢の観客が固唾をのんで、吉田輝星の対外試合初登板を見守った。
2019/03/16
平日の鎌ケ谷に1000人以上のファン
首都圏が気温17~18℃のポカポカ陽気に包まれた3月12日、部屋に閉じこもってPCに向かってるのがバカらしくなって、電車に飛び乗った。鎌ケ谷スタジアムで教育リーグの楽天戦がある。電車内はお陽さまでぬくぬく状態、おばあちゃんちのサンルームみたいだ。乗客があちこちで居眠りしている。京成線と東武線を乗り継ぎ、鎌ケ谷駅到着。駅構内にこの時期恒例の新入団選手の紹介パネルが掲示されている。春がやってきた。
駅前のシャトルバス停に並んだ。が、気づくと異様に列が長い。週末ならそのくらい伸びていても不思議はないのだが、平日の昼だった。僕のようなフリーランスなら時間の融通がきくが、フツーなかなか12時半プレーボールの教育リーグは見に来れないだろう。あれ、今日何かだっけ? 列の構成をチェックすると明らかに女子率が高い。
うかつにも程があった。吉田輝星初の「対外試合登板」という報道が出ていた。そりゃシャトルバスの列も長くなるわけだ。つまり、僕は陽気に誘われ鎌ケ谷に飛んできて大正解だったのだ。鎌スタの至近距離から吉田輝星の実戦登板が見られる。自分の「仕事サボり根性」に大感謝だ。
バスがファイターズタウンにすべり込み、人の多さに気持ちが浮き立つ。階段上がったところの売店では、吉田輝星グッズにまたまた長い列が出来ていた。スタンドに出てみると土日並みの入りだ。ざっと見て1000人は軽く超えている(公式発表は1306人!)。「18 YOSHIDA」のユニホーム、ブルーもしくは紫の「輝星推しタオル」を揃えた女子ファンがめちゃくちゃ多い。これは去年の清宮フィーバーで見られなかった現象だ。ルーキー清宮幸太郎は男性ファンに人気があった。
※その清宮幸太郎は鎌ケ谷で手術後のリハビリを開始している。この日は(登板目前の)吉田輝星と話をした。投打のニュースターがこんな想定外の形で接点を持つとは。
スタンドの女子ファンを仔細にウォッチすると一人客が多かった。つまり、それだけ熱烈なのだ。近くの女性に話をうかがってみると(どちらも一人で来られたそうだった)、お一方(ひとかた)は伊豆から来たという若い女性、高校野球をずっと追っていて、輝星くんに魅せられたそうだった。もうお一方は秋田のご出身で、金足農業の紫の応援タオルをご持参だった。鎌ケ谷は初めてとのことで、にもかかわらず(嬉しいことに!)「18 YOSHIDA」のファイターズユニを着用されていた。あぁ、吉田輝星は新しいファンを連れてきてくれたんだと強く思う。僕はもちろん大歓迎だ。
女子ファンのわりと多くが一眼レフのカメラを持っていた。この日はネット裏にTVやスチールのカメラマンが大勢いたから、実際問題カメラだらけだった。この傾向はここ数年、非常に顕著で、カメラはとても重要なツールになっている。ファン同士で写真をやりとりしたり、SNSにアップしたり、あるいは選手にあげることでコンタクトの機会をつくったり、要はコミュニケーションツールとして機能している。で、またホントにいい写真を撮るのだ。練習中の選手の一瞬の表情を捉えるのは、質・量ともにプロも敵わない。かと思えばスポイラばりにダイナミックな試合シーンを撮ってる場合もある。