長嶋監督より藤田監督の影響大? 好調DeNA、中畑采配の系譜
首位を走る横浜DeNAベイスターズ。今季は攻撃陣は1点ずつ積み重ね、先発陣がしっかりと試合をつくり、勝利の方程式で逃げ切る、手堅い野球で勝利を積み上げている。その中畑采配の系譜を探ると、現役時代の指揮官だった、ある監督と共通点が浮かび上がってくる。
2015/05/20
ベースボールチャンネル編集部
藤田監督と似通る部分が多い中畑采配
藤田氏は巨人を81~83年、89~92年と2度指揮し、リーグ優勝4回、日本一を2回成し遂げた昭和の名将である。その穏やかで物静かな雰囲気は、中畑監督と対極にあるような気がするが、じつは人間性も含め選手起用法や采配に似ている部分が多い。
まず藤田氏が目指し実践していたのは守備の野球である。第一次政権では江川卓、西本聖、定岡正二、第二次政権では斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己の3本柱を確立し、守備の充実を図った。
中畑監督の就任当時は、投手の駒が足りなかった。それでも中畑監督は「守れない選手は使わない」と守備重視の方針を表明している。そして昨年、チーム防御率3.76でリーグ3位となり、当初の志し通り着々と守備を整備しつつある。
現在打撃好調のDeNAは、ともすれば攻撃型のチームと思われるが、中畑監督の頭にあるのは常に守備のことであり、今年もキャンプのときにしつこく「1年を通じて勝ち星を増やしていくためには、やっぱり守りが大事」と語っていた。
攻撃面において藤田氏は、打者が出るとクリーンナップ以外は必ずバントさせる確実性の高い野球をやり「面白くない」いった批判を受けることがあった。ちなみに今シーズンのDeNAは46犠打(5月18日試合前時点)でリーグ1位。強硬策はほとんどなく、5月9日の巨人戦では調子の上がらなかった中軸の梶谷隆幸にさえバントを命じている。
また選手起用、若手の抜擢に関して藤田氏は、第二次政権のとき先の3本柱に加え、若手の宮本和知、香田勲男、木田優夫を育て、野手では川相昌弘、緒方耕市、駒田徳広、岡崎郁らを積極的に起用し、一時代を築くことになった。
現在のDeNAは筒香嘉智や梶谷がブレイクしていることからもわかるように、中畑監督は育て上げた若手を積極的に起用し、チームに勢いをつけている。
藤田氏は82年に2年目の原辰徳(現巨人監督)を4番に抜擢すると、83年には3割30本100打点を挙げリーグ優勝に貢献しMVPを獲得。その後も球団の顔として、そしてリーダーとしてチームをけん引する。
こういったことを目の当たりにしてきたからなのか、中畑監督は今シーズン筒香を不動の4番・キャプテンに指名した。「強いチームには強いリーダーが必要なんだ」という信念のもと、浮くも沈むも筒香次第という覚悟を決めてシーズンを戦っている。筒香もその期待に応えるような数字を残し、好調DeNAの大黒柱に早くも成長した。このあたりは長嶋氏における松井秀喜との関係にも相通じるものがある。