9、1、2番が機能するか――清宮離脱も、開幕戦勝利で見えた一つの打線の形【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#98】
開幕戦は中島、淺間、西川でチャンスメイク、中軸がタイムリーという理想的な形で勝利を手にしたファイターズ。清宮が故障で離脱しているものの、このような展開が増えるかが今後の戦いのポイントになる。
2019/03/31
四球→つなぎ→進塁打で山岡を攻略
で、開幕のオリックス戦はまさにそこが見どころだった。先に述べたようにこの試合のアウトラインは「近藤健介、中田翔と中心打者が打っての逆転勝利」である。打つべき人が打ったというやつだ。だけど、仔細に見ていくとそこに至る伏線がある。野球はつながりが大事なのだ。
開幕戦、相手先発の山岡泰輔がキレッキレだった。ファイターズ先発の上沢直之は初回早々と2失点し、チームは劣勢に立つ。3回に1点返した直後、更に1点追加されて、流れも悪かった。ムードは「負け試合」だ。
が、「負け試合」をどうひっくり返すかが野球だ。手がつけられないキレッキレの相手投手をどう攻略するかが野球だ。こんなとき、中心打者がポーンとホームランを打っても「焼け石に水」ということになるだけだ。あるいは「孤軍奮闘」。ひとつきっかけを見つけて、つないで「点」を「線」にしなくちゃいけない。で、これは中心打者でなく、1、2番(もしくは9、1、2番)の仕事なのだ。
面白かったのは8回裏の山岡攻略劇だった。スコアは1対3のビハインド。山岡は絶好調で、何しろ3回の後は出塁すら許していない。ただこの回になって少し球が浮きだした。先頭の代打・松本剛は二ゴロ。続く中島はよく選んで四球で出塁。この試合、中島が切り込み役をよくこなした。「影のMVP」ではないか。
1死1塁に中島、ここで注目の1番淺間だ。ここまでは山岡にヒネられ3打席ノーヒット。が、前後裁断である。今、ここがすべてだ。ここで仕事をするかどうか。このチャンスをものにできなければ、9回は増井浩俊が出てくる。淺間は是が非でもつなぐ必要があった。
2球続けてボール。捕手の若月健矢がマウンドへ走り、間を取る。3球目はストレートを待ってストレートが来た。が、詰まってファウル。もう1球、内懐(うちぶところ)にストレート、これもファウル。カウント2-2からスライダーが来た。好投山岡の101球目だった。淺間は軸を崩さず、一拍ためて三遊間を割るヒット!
この淺間のつなぎが(西川1ゴロで2、3塁に進塁の後)近藤の2点タイムリーを呼び込むのだ。「負け試合」が一転、同点となり、ファイターズペースになる。ほとんどスキのない投球を続けてきた山岡を「四球→つなぎ→進塁打」で崩してしまった。もちろんこのイニングの殊勲はタイムリーの近藤である。が、お膳立ての仕事が重要だった。淺間はこれを続けてほしい。毎日、しびれながら野球をしてほしい。
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