昨季はグラシアル獲得の大仕事。ソフトバンクを支える敏腕スカウトの次なる目標とは?【インタビュー】
常勝軍団の福岡ソフトバンクホークス。その強さを支えているのが外国人選手のスカウティングにある。昨年2月には、ユリスベル・グラシアル内野手が入団。少ないチャンスをものにして、数字以上のインパクトを残した。ほかにもスアレス、デスパイネらの獲得に尽力した萩原健太中南米担当スカウトに話を聞いた。(取材・文:高橋康光)
2019/04/12
フアン・ソトのような逸材を
――そんな萩原スカウトの次なる狙いとは?
「一般的に日本でプレーする外国人選手というのは、メジャーに上がれないマイナーリーガーとか、若手といってもMLB球団からリリースされた選手です。そうではなくて、MLBも欲しがる選手を彼らに先駆けて獲得したいですね。
メキシコリーグ時代のスアレスは、MLBのチームが本格的に動き出す前に何とか獲得できました。キューバリーグからですが、モイネロもそれに相当するケースだと思っています。
例えば、今20歳ながらメジャーで活躍しているフアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)とか、ああいう逸材を16、17歳の時点で、MLBに取られる前に契約できたらなということです。日本球界だって、17、18歳の高校生の獲得に1億円の契約金を払えるわけですから、それをドミニカやキューバの逸材に使ってもいいのではという発想です」
その実現のためにも重要な事はとにかく自分の足で稼ぐということだ。
「他球団の事情はわかりませんが、たかだか1週間くらいの視察で逸材に出会えるとは思えません。他の日本人が行かないようなところにチャンスがあると思っていますから。今ではメキシコに行けば、色々なチームのGMと食事に行くような関係も作れましたし、キューバに関しては、U23やU18世代の国際大会にも欠かさず足を運んでいます。すると、向こうの関係者も“オマエはいつも来てくれるな”と思ってくれますよ。
選手獲得には至らなくても、情報の交換や、いい関係作りにはなりますね。全てゼロからのスタートだったことを考えると大分ネットワークが広がったと思います。国際大会などで顔を合わせるMLBのスカウトたちも私の活動量に驚いていますよ(笑)」
昨秋は、プエルトリコ・ウインターリーグに参加した真砂勇介外野手、髙橋純平投手、周東佑京内野手の3選手のコーディネーターとして同地に滞在し、彼らの現地生活や練習のサポートも行うなど、その活動はスカウティング以外にも及んでいる。萩原スカウトが中南米球界とのパイプを太くすることで、選手獲得以外にもホークスに多くのメリットがもたらされているようだ。