終盤に代打を出される捕手を「正捕手」とは呼ばない【里崎智也の里ズバッ! #03】
今季から野球解説者として各方面で活躍する里崎智也氏が、その経験に裏打ちされた自身の「捕手論」を語る新連載。第3回は、どのチームも頭を悩ませている正捕手の育成について。チームの勝利と必ずしも結びつかない、その難しさに独自の観点から切りこみます。
2015/05/22
Getty Images
不動の「正捕手」と呼ばれるためには
とは言え、仮に全試合でスタメン出場を果たしたとしても、その選手が先にも挙げた「他にいない」という理由だけで起用されているうちは、「正捕手」としては半人前。もっと言えば、自分のチームにいる同じ捕手のことをライバルとしてロックオンして、その成績に一喜一憂しているようでは、その選手は、まだまだ「正捕手」ではないと言っていい。
もちろん、自分自身がレベルアップをするためにも、ライバルの存在は不可欠だ。しかし、レギュラーを獲って、「自分がチームでトップだ」と思えるようになったら、その視線の先には、少なくとも同じリーグで戦う、他チームの捕手たちの姿が映っていて然るべきだと、僕は思う。
チーム内でどんなに凌ぎを削っても、ベストナインやゴールデングラブ賞はもらえない。さらに上を目指すのであれば、視線は早い段階から外に向けておくべきなのだ。
ちなみに、ロッテファンの方たちからは「田村と吉田だったら、どっちがより里崎さんの後継者に近いと思いますか?」といった質問もよくされるが、そんなときの僕の答えはいたってシンプル。「打てるほうを使う」だ。
何度も言うように、キャッチャーの「リード」は、投手陣の陣容やチームの成績にも左右される相対的な評価でしかないし、肝心かなめのその「リード」は、1軍の試合に出てデータをアップデートしていくことでしか向上は望めない。
だとすれば、「打って」より試合に出るほうが、「正捕手」の座に近づくのは必然。
そのうえで、試合終盤で代打を送られることなく、チームの勝利に攻守にわたって貢献できるようになれば、それこそが、押しも押されもしない不動の「正捕手」の姿と言えるだろう。
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