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”動かない”ことが奇策へ。固定概念にとらわれない落合博満流采配論【横尾弘一の野球のミカタ】

ペナントレースを制するためには、監督の采配が当然カギを握る。しかし、采配の意味をすべて『何かをする』ことだと考えていないだろうか。落合監督時代、監督にとって常道と思った策が対戦相手にとって奇策になったケースが幾度とあった。それはなぜか?(2015年5月25日配信分、再掲載)

2015/05/25

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プロ野球は明らかに人が“動く”時代へ

 ペナントレースは開幕から2カ月余り、約50試合を消化したが、セ・パともにまだまだ優勝の行方どころか、クライマックス・シリーズへの出場権を手にできるAクラス争いの展望すら見えてこない。
 
 セ・パ交流戦18試合の勝敗が大きなカギになりそうだという気配はあるものの、本当の勝負は後半戦に入ってからだろう。
 
 この時期、12球団の首脳陣は毎日の戦いに全力を傾けながら、ここまでの戦いぶりを検証している。ルーキーや新外国人をはじめとする新戦力はどう機能しているか。故障者やケガ人の状態はどうか。予想以上に台頭してきた戦力をどう起用していくか。さらなる補強は必要か。今季は開幕後のトレードこそ行われていないが、すでに育成選手を支配下登録したり、新たな外国人選手を獲得して戦力アップを図る動きはいくつも見られる。
 
 FA(フリー・エージェント)制度の導入、外国人枠の拡大に加え、2008年から支配下登録の期限が6月30日から7月31日に延長されるなど、プロ野球は明らかに人が“動く”時代になった。他球団の選手を常にチェックするプロ・スカウトを多くの球団が採用し、人に関する情報戦も優位に運びたいと目論む中、肝心の現場ではどんな采配が求められるのだろう。監督時代の落合博満は、この采配の分野でもユニークな考え方を実践していた。
 
「監督の大きな仕事は、チームを優勝に導くこと。そのために戦力を整備し、選手の起用法を考え、一つひとつの局面で最善と思える策を講じる。それらすべてが『采配』と言われるけれど、多くの指導者は采配と聞けば『何かをすること』、あるいは『何かをしなければならない』ととらえている。だが、時と場合によっては、考えに考えた上で『何もしないこと』も重要な采配だと思っている」

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