予想外だった5番・田中賢介の起用。横尾俊建、「右のスラッガー」へ原点回帰せよ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#101】
GW明けのファイターズ打線は、5番に今季限りで引退を表明している田中賢介が入る状況だ。しかしこれからを見据えると、やはり現在二軍で再調整中の「おにぎり君」こと、横尾俊建の奮起に期待したい。
2019/05/12
今季限りで引退を表明している男が5番に
「史上最大の10連休」と騒がれた令和改元GWが明けて、ファイターズの5番を田中賢介が打っている。これは正直まったく予想していなかった。打線が薄いのだ。大田泰示、近藤健介が復調しつつあるが、得点力が弱い。今季限りで引退を表明しているベテラン、田中賢介に頼らざるを得ない状況だ。GW明けのオリックス2連戦は1対0、1対2としーんと静まり返った試合だった。大田がらみで1点ずつしか取れていない。
5番DH田中賢介はノスタルジックな意味合い以上に期待感が持てるのだ。5月9日のオリックス8回戦、6回裏、大田とコンスケで1点返した後、中田翔を敬遠気味に歩かしてくれて「5番賢介勝負」となったとき、むしろこういう場面の勝負強さは賢介のほうが上じゃないかとすら思えた(結果はライトフライ)。
STVラジオ『田中賢介のアフタースクール』を聴いていたら、フェースガード付きヘルメットの話が出た。今年からファイターズでも流行りの「フェースガード付き」を使用する選手が出現したのだが、合う合わないが人によってはっきり分かれるというのだった。例えば中田翔はすんなり移行した。コンスケは「視界が遮られる」「下が見えない」と言って使用を拒否した。じゃ、田中賢介はというと「今年で引退するし、僕はもういいんじゃないか」という感覚だったらしい。今さら何も変えたくない。が、ある選手にこう言われてハッとしたそうだ。「だったら余計ガードしたほうがいいんじゃないですか」。来年から評論家として顔を出して仕事をする。ラストイヤーこそフェースをガードすべきじゃないんですか?
僕は聴いてちょっとビミョーな気持ちになった。賢介にはあんまり「来年から顔を出して仕事をする」なんて思ってほしくない。いや、もちろん現実にはそうなんだけど、ウソでも「最後まで理想のスイングを追い求める」くらい言ってほしいのだ。まぁ、ここら辺は性格もあるだろう。賢介はあんまり執念めいた、ギトギトしたコメントは好まない。
ま、これはファンの勝手な言い分である。今年で辞める選手に「今年で辞める」とあんまり思ってほしくないのだ。燃えていてほしい。だから「5番DH田中賢介」が見られたのはすごく嬉しかったのだ。それが王柏融、清宮幸太郎の戦線離脱による苦肉の策だったとしても、クリンアップの一角を担う責任は大きいのだ。先に挙げた9日のオリックス戦がまさにそうだったが、チームは賢介が打てば勝つし打たなければ負ける。そういう熱さのなかで野球をやらせたいじゃないか。
※それに田中賢介は代打タイプじゃないのだ。1試合4打席立って、そのなかで仕事をする。ベテラン賢介の生かし方は案外難しいと思う。スタメンで使い続けるのがいちばん能力を発揮するからだ。