2015年度版・栗山巧の打撃スタイルを垣間見た、逆方向へのホームラン【中島大輔 One~この1打席をクローズアップ】
ライオンズのキャプテンが状態を上げてきた。今季2番にすわる栗山巧は4月は思うような打撃ができず、打率も低迷した。周囲は不振ととらえるが、栗山は全く別の捉え方をしていた。そして自分が追い求める理想に“近い”打球がいよいよ出てきた。今回は、5月23日の楽天戦、3回2死走者なしの場面だ。
2015/05/26
ベースボールチャンネル編集部
自分の打撃と、チームの勝利と
本塁打ではなく2塁打でもいいというのは、確率を高めるためだろう。偶然性も手伝ってスタンドに届いたホームランではなく、意志を込めたツーベースを増やす。そうすれば、長打と同時に打率も上がっていくはずだ。
2対2で迎えた7回、3番・浅村栄斗の決勝タイムリーにつなげるレフト前安打の解釈も興味深かった。先頭打者の9番・金子侑司がレフト前安打で出塁し、続く秋山翔吾が今季初の犠打を決めて1死2塁。ここで栗山は金刃憲人が内角に投じたシュートを逆方向に打ち、詰まらされながらも三遊間を抜いて1、3塁にチャンス拡大したのだ。
「(逆方向に打ったのは)たまたまなんです。9番の金子がバントの構えでゆさぶって、ヒットを打ったりして。秋山がいいバントをしてくれて、しっかりいい形でつないでくれたし。そういう流れはすごく感じた打席でもあったので。後ろにめっちゃ振れている浅村がいますからね。いい形でつなげてよかったです」
もっと状態が上がってくれば、さらにいい当たりを逆方向に打てたのではないか。そう聞かれた栗山は、質問を遮るようにこう答えた。
「いやあ、あんなもんじゃないですか。どこでもヒットになればいいと思いますよ。なにせ、後ろにいい形でつなぐことだけを考えて。ああいう場面は、ぜいたくは言えないですよ。あれでいいと思います」
3回に同点本塁打を放ち、7回のヒットはチームの決勝点につながった。長打、打率、そしてチームの勝利と、栗山が今季追い求める三兎をすべて手にした試合だった。
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