汚名返上のヘッスラが中村剛也の逆転弾へ ミス連発の木村文紀、執念のプレー【中島大輔 One～この1打席をクローズアップ】
ミスをしたとき、そのミスを取り返すためにどうチームに貢献しようとするか。厳しいプロ野球世界を生き抜く上で重要な要素の一つではないだろうか。ミスを連発した埼玉西武ライオンズの木村文紀は、その時とにかく必死だった。今回は5月31日の阪神戦、7回無死走者なし、木村文紀の第3打席目を取り上げる。
2015/06/02
ベースボールチャンネル編集部
『取り返してこい』チームメイトの声に後押し
「バッターボックスに入る前、栗山（巧）さんが『取り返してこい』って言ってくれたり、みんなベンチから声をかけてくれました」
チームメイトにも後押しされ、木村は打席に向かった。
「回の先頭なので、がっつかず、フォアボールでもいいという気持ちで、何とか出塁しようとバッターボックスに立ちました」
2ボール、2ストライクから能見が内角に投じた141kmのストレートを引っ張ると、打球が三遊間の深くに飛んだ。ショートの鳥谷敬がキャッチし、1塁に送球を送る。木村は頭から飛び込み、間一髪のタイミングでセーフを勝ち取った。
ここから西武はチャンスを拡大し、秋山翔吾のタイムリーなどで1点差に迫る。そして2死1、2塁から中村剛也が15号3ランを放ち、逆転に成功したのだ。
あくまで結果論だが、中村は木村のヘッドスライディングで闘志に火がついたと振り返っている。
「エラーはつきもので、僕もよくするんですけど。（木村のように）その後にああやってやるのが、すごく大事だと思います。そこからつながって点が入ったので、気合が入りました」
木村は今季、4月3日に負傷のため登録抹消されると、5月4日に再昇格するまでの1カ月間を2軍ですごしている。その間、バッティングを見直すうえで、参考にしたのが中村のアドバイスだった。
「2軍に落ちて、中村さんからいろいろメールをもらいました。打つときに焦っているとか、慌ててタイミングをとっているとか、ボールは点じゃなくて線で打つとか。そういうのを意識して2軍で取り組んでいました」
その中村が5月31日の楽天戦で決勝本塁打を放ち、木村のミスを救ったのだ。
「涙が出そうになりました、本当に」
もちろん、木村のエラーとバント失敗が帳消しになったわけではない。試合後、守備で犯したミスの原因について聞くと、口を真一文字にして言った。
「僕の実力ですね。次、同じミスを繰り返さないように」
7回に一挙5点を奪った西武は、阪神に勝利して実に5カードぶりの勝ち越しを収めた。その逆転劇の突破口となったのが、木村の見せたヘッドスライディングだった。
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