「専属捕手」としか結果を残せないピッチャーは一流か【里崎智也の里ズバッ! #04】
今季から野球解説者として各方面で活躍する里崎智也氏が、その経験に裏打ちされた自身の「捕手論」を語る好評連載。第4回のテーマは、特定の投手とのセットで出場機会を得る「専属捕手」の存在について。今回も独自の切り口で、賛否両論ある議論に一石を投じます。
2015/06/02
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「専属捕手」はバッテリーのあるべき姿ではない
プロ野球では、“相性”のよさや、キャッチング技術の巧みさなどを理由に、特定のピッチャーとセットで起用されるキャッチャーを「専属捕手」と言ったりする。
過去の歴史を振りかえってみても、とくにパリーグのエース級ピッチャーには、代々、この「専属捕手」との組み合わせが非常に多く、近年でも、ホークス・斉藤(和巳)と、のちにロッテでチームメイトにもなった的場(直樹)や、ファイターズ時代のダルビッシュ(有)と鶴岡(慎也)といったコンビは、一般にも広く知られているところだろう。
だが、それがバッテリーのあるべき姿かと言えば、断じて違うと僕は思う。
彼ら(ここでは一般的なピッチャーを指す)は、その組み合わせで、たまたま有無を言わさぬ結果を残し、なおかつそれを維持し続けたからこそ、その後も女房役たる捕手の“指名”を許されたのであって、同じことを並のピッチャーがやったら、それこそ残りの捕手からは総スカン。
もし僕が、現役当時にそこらのピッチャーがそんなことを言っているのを耳にしていたら、何が起きたところで、「いや、いいっす」と、そいつと組むのを断固拒否したことだろう。
そもそも、「あのキャッチャーのときは投げにくい」「勝てない」なんていうワガママがまかり通るのなら、「あのピッチャーはコントロール悪いから、捕るのイヤ」「あのクイックだと、こっちの盗塁阻止率が下がる」といった、僕らの言い分も聞いてもらわないことにはフェアじゃない。
誰と組んでも、それなりの結果を出す。本来はそれができてこそ、プロなのだ。