FA移籍1年目の評価が今後の立場を決める 岐路に立つ、ヤクルト成瀬善久【小宮山悟の眼】
今回は、今季から新天地でプレーしている移籍選手にフューチャーしたい。個人的に最も気になる存在は、千葉ロッテ時代の後輩で、今季からヤクルトの一員となった成瀬善久だ。
2015/06/03
移籍1年目の成績は重要
今季、FAで千葉ロッテから東京ヤクルトへ移籍した成瀬善久。
4月28日の日本ハム戦では、8回途中まで粘りの投球を披露して白星をマークした。ただ、その勝利を加えても、シーズン成績は2勝5敗、防御率4.31(5月31日現在)という物足りない数字だ。知らない仲ではないので、あえて厳しい言葉を使わせてもらうと、先発ローテーション投手として満足のいくパフォーマンスを披露しているとは言えないだろう。
もちろん交流戦以降、十分に挽回できるチャンスはある。
これから先発として勝ち星を増やし、移籍1年目に結果を残してほしいが、千葉ロッテ時代の後輩であり、仮にもチームのエースとしてプロでの実績を積み上げてきた成瀬だからこそ、辛口だが、エールを送りたい。
まず成瀬には「移籍1年目の印象は本当に大事」なんだということを知ってもらいたい。大げさではなく、彼は選手生命に関わると言ってもいいほど重要な時期を迎えている。
ヤクルトの球団フロントは現在、新戦力の成瀬に対する評価の判断をつけかねている状況ではないだろうか。
「こんなものなのか」「もっとやれるはずじゃないのか」――そういう思いを巡らせているはずだ。評価は揺れ動いている。
ここでの評価が、今後のチーム内での立場を決定しかねないのだ。
しかも、成瀬はトレードで移籍してきたわけではない。
FAという「このチームでプレーしたい」と希望できる権利を行使して入団した。そんな投手が万が一、勝てないとなると「ダメだな」という烙印を押されやすいのだ。