苦しい状況こそ「飛び出せ、新時代」。石井一成らの若手台頭で首位追撃態勢なるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#106】
オールスター明け、ファイターズは良いスタートを切った。主力選手が相次いで戦線離脱をしているが、若手の勢いを大切にしながらも、中堅選手に復調のきっかけを与える栗山采配が光る。
2019/07/21
ポジティブな流れに変える栗山采配
で、ピンちゃんを褒めたいのだ。石井一成はオフに自分に足りないものを見つめた形跡がある。春先から打球が飛ぶようになっていた。長打があるのだ。大砲じゃないからズドンッはないけれど、クラッチヒッターの魅力が出てきた。今季はホームランも出ているが、それよりも打線に流れをつくる渋いヒットが持ち味だ。ジワジワ成長している。中島卓也が調子を落とし入れ替わったタイミングで、打撃は絶好調。ついにスタメン6番だ。上位と下位のつなぎ役。
チームに勢いがつくときは必ず若手が出てくる。わかりやすい例が2006年日本一のシーズンの森本稀哲、田中賢介だ。2人とも開幕戦はスタメンじゃなかった。途中から1、2番に定着し、チームのけん引役を果たした。
プロ野球選手には「試合に出ないとわからないこと」「出続けないとわからないこと」がある。ピンちゃんはそれを会得しつつある。立派に1軍の戦力になってきた。チャレンジチャレンジ。
それから7月17日のソフトバンク14回戦に関してだけど、この試合、栗山監督は「5番セカンド・渡邉諒、6番サード・石井一成」のオーダーを組んだのだ。ピンちゃんがサード。で、「9番ショート、中島卓也」。ここはミソだったなぁ。波に乗ってるなべりょ&ピンがいて、卓をどうやって戻してやるかは難しいでしょ。僕は感心した。北九州市民球場でショートスタメンに戻してやったのだ。
地方球場はイレギュラーバウンドが多く、守りのミスが起きがちだ。これが人工芝の毛足が長いヤフオクだったら(ゴロの勢いが消されて今宮を抜くのが至難の業!)気にならないが、地方球場は巧い内野手を揃えたい。で、サード石井ピン、ショート中島卓。これはハマった。卓にタイムリーヒットが飛び出す(スクイズでもおかしくない場面だったが、栗山さんは打たせた。ここは含蓄のある采配!)し、ピンちゃんは再三の好守備、特にファウルゾーンのハーフライナーを背走ジャンプしたファインプレーが光った。
若手の勢いを殺さず、(調子落ちした)中堅にきっかけを与える。北九州の試合は有原航平が見事な投球を見せたが、他にもチームをポジティブなムードにしていく要素があった。苦心のやりくりが続くけれど、すべてポジティブに変えていこう。ここから面白くなりそうだ。
どんな試合展開でも最後には絶対見たい、代打の切り札・田中賢介【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#107】