NPBが考える、新たな野球振興策 「ベースボール型授業」指導用教材作成の狙い
プロ野球12球団と一般社団法人日本野球機構が、全国の小学校で野球、ソフトボールなどの経験がない先生でも体育の「ベースボール型」授業を気軽に行うための手助け、環境作りを目的とした「みんなが輝く やさしいベースボール型授業」指導用教材(DVD付)を制作した。その教材は5月に全国約2万1,000校の小学校に無償配布された。制作に込められた意図や、願いを日本野球機構・野球振興室室長の平田稔氏に伺った。
2015/06/10
全国の小学校に1冊ずつ配布
はい、全国約21000校に1冊ずつ。さらに約1700の教育委員会にも配布しています。ほぼ配布が終わっていて(5月下旬現在)、現在は『もう少し送ってほしい』という要望もいただいているところです。
――今日初めて教材を見せていただきましたが、全ページカラーでイラストも豊富ですね。33ページと、意外に薄いことに驚きました。DVDが付いていますね。
これでも、ページ数が多かったかなと思っています。というのも、先生方はお忙しいため、分厚い指導用教材では手に取りづらい。DVDはたっぷり収録して、ひとつのチャプターが3分以内でおさまるように工夫してあります。
――先生方の指導教材ということで、中学年、高学年ごとに授業計画案や進め方、指導内容、評価基準まで細かく具体的につくられていますね。
先ほども話したように、小学校3年生から6年生までの体育で「ベースボール型」授業を行う上で、できる限り先生方の不安や悩みを取り除き、子どもたちに体を動かす楽しさや面白さを感じてもらいたいと思っています。
――学童野球での指導と違って、野球に初めて触れる生徒も多いですよね。
教えるのは本当に難しいですね。1クラスに30人の子どもがいた場合、少なくても5人は右投げ(右利き)なのに、右足を上げて投げようとします。何も言わなければ、三塁方向に走ろうとする子もいます。
――プロ野球のテレビ中継が減ったことも関係しているのでしょうか……?
そうですね。昔は、テレビを見るなかで、野球というものが自然に刷り込まれていたと思います。でも、今はまったく見たことがない子どももいるのが現実です。