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チームとファンの熱をシンクロ。DeNA公式動画に込めた願い

横浜DeNAベイスターズの公式動画はファンのみならずプロ野球界でも評判が高い。制作に携わる担当者は動画にどのような思いを込めているのだろうか。

2019/08/23

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丁寧にメッセージを送りたい

「ファンの方々と球団をつなぐハブ(拠点)になりたいと思っているんです」
 こう静かに力強く語るのは、横浜DeNAベイスターズのクリエイティブ戦略部に所属する前原祥吾さんだ。
 
 横浜スタジアムでの公開をはじめ、You Tubeや球団公式SNSなどでアップされている動画。深いストーリー性に加え、どこか感傷的で、かつ光明を感じさせる心に染み入る映像の数々。DeNAの発信する動画は、ファンのみならずプロ野球界で高い評判を呼んでいる。
 
 前原さんはそんな映像を制作するスタッフのひとりだ。コンセプトを立て、制作の段取りを決め、ときには自らカメラを持ち選手や関係者を追う。ここでしか起きない一瞬を逃すことなく切り取り、作品を組み立てていく。
 

「大事なのは球団として発信をしたいことを表現するのはもちろん、ファンの方々に共感を得なければいけないということです。球団はこういうことを考えていて、ファンの人たちと共有していきたい。丁寧にメッセージを送ることが、チームを盛り上げるひとつのカギになると思うんです」
 
 最近手がけたのは、球団創設70年を記念して制作された『70th ANNIVERSARY CONCEPT MOVIE』だ。3作品が公開され、1950年に山口県下関市で産声を上げた大洋ホエールズ時代から現在までを綿密に追っている。綺羅星のごとき選手ばかりではなく、指導者や経営者、知識人などこれまで携わったさまざまな人たちに焦点を当て歴史を紐解いていく。ファン目線を忘れることなく「なぜベイスターズはこんなにも愛されているのか」というテーマのもと、観る者の心根に響く作品に仕上がっている。
 

「基本的に“歴史”というのは興味を引きにくいテーマだと思うんです。やはり新規のファンの方々が多いチームですからね。ただ今こうやってたくさんの方々が観戦に訪れてくれて楽しんでくれているのも、これまで球団を支えてきた選手や関係者の方々の尽力や強い思いがあったからこそなんです。僕たちとしては、これをしっかりと後世に伝えていく必要があると考えています」
 
 思えばこの70年間でリーグ優勝と日本一は2回しかない球団である。極論を言えば、その多くがが敗北の歴史だ。だが暗闇の中にあっても小さな灯を必死になって守りつづけた人たちがおり、またスタンドには勝つことを信じていたファンがいた。映像ではそんな人たちをクローズアップし、ベイスターズの“不屈の生き様”を表現している。
 
「ただ伝えなければいけないという責任感とプレッシャーはすごいですよ」
 
 前原さんは苦笑しながら語るが、その表情は胆力に満ちている。
 

「取材の過程でレジェンドOBの方や普段会えない人たちと接するのは楽しいです。あとムービーの主役はファンの皆さんであると同時に僕自身でもあるんです」

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