子どもの野球人口に危機感 「ベースボール型」授業で野球の魅力を伝えたい
プロ野球12球団と一般社団法人日本野球機構が、全国の小学校で野球、ソフトボールなどの経験がない先生でも体育の「ベースボール型」授業を気軽に行うための手助け、環境作りを目的とした「みんなが輝く やさしいベースボール型授業」指導用教材(DVD付)を制作した。その教材は5月に全国約2万1,000校の小学校に無償配布された。制作に込められた意図や、願いを日本野球機構・野球振興室室長の平田稔氏に伺った。
2015/06/13
体を動かす喜びを知ってほしい
――ベースボール型の授業を通して、子どもたちにもっとも伝えたいのはどんなことでしょうか。
一番は体を動かすことを好きになってほしい。今は運動しない子が増えていて、体力が落ちているとも言われています。「ベースボール型」授業を通じて、運動の楽しさを感じてほしいですね。
――「ベースボール型」の魅力は、どのように考えていますか。
主に『捕る』『投げる』『打つ』『走る』『主役』『考える力』『解決する力』『協調性』の8つです。子どもたちを見ていると、打つことが楽しいようですね。野球に初めて触れた子でも、楽しそうにバッティングをしています。
――遠くに飛ぶようになるとどんどん楽しくなっていくでしょうね。
あとは、野球は『間のスポーツ』とも言われます。これもベースボール型の特徴のひとつです。この間を使って、チームで作戦を立てたり、意見を出し合うことによって、『考える力』や『解決する力』を養えます。
――『主役』という言葉も気になります。どういうことでしょうか。
野球は誰もが主役になれるスポーツです。チームプレーではありますが、基本となるのはピッチャーとバッターの1対1での勝負。攻撃する機会が必ずあるわけです。また、自分のエラーによって負けることもある。成功しても主役、失敗しても主役。こういった経験をすることによって、さまざまな勉強をすることができると感じています。
――喜びも悔しさも、すべてが経験ですね。
『協調性』とあるように、仲間を想う気持ちも育ってくると思います。宮本和知さん(元巨人)が、『キャッチボールは思いやりだよ』と子どもたちに教えていました。相手のことを思って、捕りやすいところに投げてあげる。あとは、フェアプレイの大切さも伝えています。キーワードにしているのが、『あくしゅ・あいさつ・ありがとう』。試合をはじめるときは、試合ができることへの感謝の気持ちを込めて、対戦相手や審判と握手をする。試合が終わった後も同じです。