守り勝つ野球を。走塁と状況判断に優れた野球をもう一度【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#109】
道東シリーズで3連敗を喫し、優勝争いから大きく後退したファイターズ。今年は様々な新しいチャレンジをしてきたが、結果的にこれまで積み上げてきた強きファイターズ野球を忘れ去ってしまっているように感じてならない。
2019/09/01
問題は中田だけではない
道東シリーズの3連敗は痛かった。一縷(いちる)の望みをかけて西武を迎え撃ったが、20年ぶりの日没コールドゲーム(釧路市民球場)というトリビアルなネタだけ残して終わってしまった。ファイターズはソフトバンクへの挑戦権を完全に失い、Aクラス確保に目標を切り替えるしかない。西武が2ゲーム差(8月30日午前時点)で首位攻防戦を迎えるのと大違いだ。西武ファンは血が沸騰しているだろう。こちらはしょんぼりだ。あんな感じで9月を迎えるつもりだった。
僕は今、新千歳空港のハンバーガーショップでこれを書いている。30日朝の道新スポーツの1面トップは「中田12の0」問題だ。道東シリーズの惨敗に「4番の差明らか」と見出しを打っている。まぁ、中田がゲンのいい帯広でも打てなかったのに対し、西武の「打つべき人」は山川も中村剛也もカンカン打っていた。だから勢いそのような筆致になったのだろうが、ケガ明けやっと戻ってきた中田にちょっと気の毒な気もしてしまう。ま、ゲッツーの大安売りで、チャンスをふいにしていたからなぁ。4番&キャプテンはそれだけ重責ということか。
が、僕がこのところのファイターズでいちばん残念だなぁと思っているのは「4番の働き」ではない。「4番の働き」もそりゃ必要なのだ。特に中田の代役で清宮幸太郎が挑戦して以降、ぜんぜん機能はしていなかった。といって近藤健介も大田泰示も調子を落としていた。打線で気を吐いていたのは渡邉諒と石井一成だったが、石井も骨折してしまった。かえすがえすもレアードの流出がでかい。つまり、打線自体がさっぱりなのだ。「4番の働き」だけ言ってもなぁ。
僕が残念に思っているのは「守りの野球」ができなくなってしまったことだ。この道東シリーズも守備の乱れがことごとく失点に結びついた。具体的には送球ミスが多かった。送球ミスはかっこ悪いのだ。野手のいないところへ投げて、ボールが転々としてしまう。草野球っぽい。で、状況的には走者を進めてしまう。1死1塁の場面で、サードゴロゲッツーだと思ったら、悪送球で1死2、3塁ができてしまったりする。何でもない場面が一転、大ピンチだ。
しかも、そこで痛打を食らったりするんだよ。いちいちダメ出ししてもしょうがないけど、近藤健介、横尾俊建の送球ミスはこたえた。絶対的な練習量が足りてないのではないか。送球ミスは送球の練習だけしていればいいわけじゃない。打球の予測、準備、フィールディング、グラブの使い方、そういう守備の全部が合わさって送球がある。