いまだ防御率0.00! 「ツバメの守護神」バーネットはなぜ復活したのか【新・燕軍戦記#6】
ここ2年はケガもあって不本意な成績に終わっていたヤクルトのトニー・バーネットが、今季は安定感あふれるピッチングを続けている。昨年限りでクビになっても不思議ではなかった「ツバメの守護神」に、いったい何があったのか・・・・・・。
2015/06/09
「目標にしているのは優勝だけ」
「ここ2年はケガで離脱する期間が長くて、自分でも本当にガッカリしたし、責任も感じていた。100パーセントの状態になっていないのに、復帰を急いで失敗したところもあった。いったん物事がうまくいかなくなると必要以上に考えすぎたり、力が入りすぎたりするし、そうなると自分自身をコントロールできなくなってしまう。でも、どこも悪いところがなければ良いピッチングができるんだ」(バーネット)
例年ならオフシーズンは最初に休んでのんびりするところを、昨年のオフは早くからトレーニング施設に入ってウエイトトレーニングや体のケアに励んだ。さらに自身のピッチングの生命線であるストレートを磨くため、シーズン中のリハビリ期間に始めた練習をオフの間も続けた。
「もっと速い球、強い球を投げるには、腕の振りを速くすればいいって気がついたんだ。たとえばドラゴンズのアサオ(浅尾拓也)。彼はケガ(右肩関節腱板損傷)をするまではリーグでも最高の救援投手だったが、なんといっても腕の振りが素晴らしかった。腕の振りをもっと速くするためにはどうしたらいいか考えて、遠投で目いっぱい投げる練習を取り入れたんだよ」
万全の状態で春のキャンプを迎え、新外国人ローガン・オンドルセクとの争いを制して開幕から守護神の座を勝ち取った。「抑え投手にとって最も大事なことは自分をコントロールすること」と言い聞かせ、ゲームセットまで感情を表に出すこともなくなった。
「今年に関してはどっしりしてるというか、落ち着いて見えるなっていう感じがしますね。投げる球自体に自信を持っていて、それが態度に表れているという感じです」と高津臣吾投手コーチは言うが、それも偶然ではない。
だが、個人の成績に興味はないとバーネットは言う。開幕からの連続無失点を23試合に伸ばし、シアトル・マリナーズでも活躍した佐々木主浩が横浜時代に樹立し、のちに巨人の山口鉄也が肩を並べたセリーグ記録に王手をかけた6月6日の千葉ロッテ戦(神宮)後、彼はこんな話をしていた。
「シアトルで育ったからマリナーズが好きだったし、ササキのファンだった。だから彼と並び称されるのは光栄だし、記録を抜きたいとは思うけど、目標にしているのはあくまでも優勝だけだ」
ヤクルトの球団史上でも、6年も在籍した外国人投手は彼が初めて。「ここが自分の居場所なんだ」と話すほど愛着のあるチームで栄光をつかむため、バーネットはただ勝利のために投げ続ける。
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