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田中賢介、福浦和也……一時代とのさよなら。野球史の一員になった平沼翔太への期待感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#111】

各球団がレギュラーシーズンを終える今、今季限りで引退する選手たちとの別れが続く。

2019/09/29

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「引き立て役中の引き立て役」

 平沼は今季の成長株だ。主力のケガでチャンスを掴み、1軍でも立派に働けることを示した。今季売り出した渡邉諒、石井一成らとともにチームの新時代をつくっていくだろう。投手からいきなり野手に転向したという意味では福浦に似ている。右投左打という意味では田中賢介の後継者だ。
 
 ストレートを叩いた。痛烈な当たりのライナー。それをこの日の主役、福浦和也が好捕する。抜けていればランナーを返せたかもしれない当たりだった。ファインプレーだ。野球の神様は4打数ノーヒットだった福浦にラストアウトの見せ場をつくった。もちろんその見せ場に応えられたのは、福浦の準備の凄みだ。福浦は最後の最後まで、感傷に流されず野球をやり切った。
 
 ファイターズはこの日、あくまで福浦引退試合の添え物であり、引き立て役だった。が、それが何だというのか。僕は「引き立て役中の引き立て役」になってしまった平沼翔太を祝福したい。平沼、1軍でやれてよかったな。福浦のラストアウトを飾ったのはプロ野球の勲章だよ。みんな誰が打ったのか忘れる。福浦の勇姿だけを記憶する。でも、みんなの記憶のなかで「火の出るようなライナー」は成長する。より劇的なシーンに脚色されていく。
 
 何より福浦の引退に間に合ったんだよ。賢介の引退に間に合ったんだよ。それが平沼が勝ち取った1軍の意味だ。大げさに言えば野球史の一員になった。僕はその事実にしびれるよ。ヒット性の当たりがアウトになって、しびれるのも変な話だけどね。胸を張って、プロ野球で生き抜けよ。福浦和也、田中賢介の後を追いかけてくれよ。
 
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