ライオンズ・高橋朋己が目指す高み――「より完璧な投球を」無敗のクローザーの本音【中島大輔 One~この1球をクローズアップ】
交流戦を終えて、6月16日試合前時点で首位と3ゲームのライオンズ。今季、ここまで安定感ある戦いができているのは、勝利の方程式が確立されているからだ。特に9回の守護神・高橋朋己の存在がチームに落ち着きを与えている。そんな守護神の本音に迫った。今回クローズアップする場面は6月14日の東京ヤクルト戦だ。9回2死1塁、中村との打席、フルカウントからの11球目だ。
2015/06/16
ベースボールチャンネル編集部
抜群の安定感も、現状に満足せず
冷静に振り返ったクローザーは、これでリーグ最多の19セーブ目を飾った。開幕から防御率0.93と、抜群の安定感を続けている。
それだけに、試合後に発した言葉は意外だった。
「毎回、黒をつけたくないという不安はありますよ」
侍ジャパンのメンバーにも選ばれ、球界を代表するクローザーとなりつつある。それでも、ネガティブな気持ちもあるというのだ。
「不安はありますけど、マウンドに上がっちゃったら、一人ひとり抑えようという気しかないので。でも、自信はまだないですね。もっとすごい抑えのピッチャーがいますし。絶対的という守護神がほかのチームにはいるので。僕はランナーを出しちゃったり、自分のなかで完璧ではない。もっと完璧なところに行きたいなという気持ちが強いですね」
3日前、広島戦で最終回を抑えた後にも似たような話をしていた。
「みんなから抑えと言われているけど、守護神とかクローザーでは思っていません。試合数しか気にしていません。もっと投げたいという気持ちでやっているので、変なプレッシャーはありません」
そう言うと、高橋はこう続けた。
「サファテ、藤川球児さんとか、本当に打てないだろうというピッチャーじゃありません。切羽詰まって抑えているので、もっと頑張ります(笑)」
高い理想を持っているが、それを結果として出すことはできていない。6月14日の試合後、高橋に聞いてみた。
「0点で抑えるだけでは、満足できないのだろうか」と。
「結果は0点でも、内容が自分のなかで納得しないので。そこは厳しくいかないと。満足したらダメ。納得というのは、トータルですね。自分の体のコンディションと、ボールのバランスとか。そこが全部合って、きっちり抑えられた試合が一番いいですね」