野球少年・少女のケガ予防を――横浜DeNAベイスターズが取り組むコンディショニングセミナー
横浜DeNAベイスターズは、日頃から野球普及の活動に力を注いでいる。その一環として今夏に開催された指導者と保護者対象の子ども向けのコンディショニングセミナーは好評を博した。
2019/10/21
横浜DeNAベイスターズ
プロ野球球団がセミナーを主催する意味
プロ野球の球団の使命は、なにもチームが勝利しファンを喜ばせることばかりではない。
横浜DeNAベイスターズは、かねてから球団として地域の活性化や野球の普及に力を入れているが、この夏、指導者と保護者を対象とした子ども向けのコンディショニングセミナーを開催した。
「わたしは球団でトレーニングやコンディショニングの仕事をして30年になるのですが、近年高卒で入ってくる選手の体力レベルが落ちていることに気づいていました。同時に子どもたちの体力レベルは1985年をピークに低下傾向にあると言われていますが、わたしとしては野球に携わる者として、この現状をどうにかしたいと常々考えていました」
こう語るのは、DeNAの野球振興・スクール事業部の塚原賢治氏だ。塚原氏は横浜大洋ホエールズ時代からストレングス&コンディショニングコーチとして選手の肉体を診てきたエキスパートであり、今回のセミナーでは講師として中心的な役割を果たしている。
夏に行われたセミナーでは『子どもたちの肩痛、肘通予防を考える』がテーマだった。主に野球をやる子どもを持つ親たちが参加し、真剣に耳を傾けた。
「子どもたちの体力レベルの低下が障害にまで波及しているという事実があります。知り合いのドクターは『小中学生の肘にメスを入れるのは忍びない』と嘆いていましたが、故障の原因は何かというと難しいものではないんです。ひとえに、きちんとした指導や管理ができていないということ。わたしは、かねてから正しく指導できる人間を育成しなければいけないと考えてきました。ただ、いくら指導者向けの優れた育成要綱を作ったとしても、それを組織体系が統一されていない少年野球チームに効率的に浸透させていくのは難しい。そこで我々としては、まず保護者に協力してもらうことにしました。基本的にクラブ活動として野球をやるのは土日になりますが、それ以外の平日の過ごし方も重要になってきますし、そこは親御さんも目が届く範囲なので、日常生活から管理してもらうという考え方です」
セミナーでは他にも『肩痛、肘通の原因とメカニズム』の説明や、『障害予防のためのエクササイズ』『障害予防のための生活習慣』など、グラウンドはもちろん日々の日常生活の中で行える簡単な取り組みが紹介された。