「あくまでも強くなっている途中」 ベイスターズ一筋で描く夢とは【横浜DeNAベイスターズ・三浦大輔スペシャルインタビュー3】
開幕ダッシュを決め、セリーグの台風の目となった今シーズンの横浜DeNAベイスターズだったが、交流戦では苦しみ貯金を失っていく現状。しかしまだリーグ首位戦線には食らいついており、これからも巻き返しに期待がかかる。 苦しいチーム状況の要因のひとつに投手陣の不振が挙げられるが、その中にあって5月5日に遅ればせながら開幕を迎えた三浦大輔は、ここまで自身初の開幕3連勝を含む、登板5戦すべてでクオリティスタートを達成(うち3回がHQS)。やはり今年もいてもらわなくては困るハマの番長の存在感。もはや今年で42歳という年齢は感じさせない。 厳しい戦いを強いられながらも何とか上位に踏みとどまるチーム状況を鑑み、今年の自分自身とチームの雰囲気、そして日本一経験者としてこれから優勝、あるいはクライマックスシリーズに向け戦っていくためにはどうしたらいいのか語ってもらった。
2015/06/19
ベースボールチャンネル編集部
怖いもの知らずのルーキー守護神
――今回は、チームのことをお訊きしたいのですが、今年のDeNA投手陣最大のニュースは抑えの山﨑康晃選手の活躍です。大抜擢でしたが三浦兼任コーチから見てどのような評価をしていますか。
真っ直ぐもキレがあるし、フォークというかツーシームの落ち方はわかっていても打てないような鋭さがある。いいものを持っているのは間違いありません。ただ、最初は性格までわからなかった。あれだけ堂々としているルーキーも珍しいし、緊迫した場面でもストライクを平気で取れる心臓は相当なもんですよ。
――三浦さんも若いときは10代とは思えないほど強気でしたけど。
いやいやいや(笑)。1点差の場面で出ていってクローザーをやるってのは本当に大変だと思うんですよ。先発とセットアッパーがつないで、また野手が打って守ってリードしてきた状況ですからね。背負うものがいっぱいある中で、さあどうぞ最後締めてくれって言われるわけです。
いい意味で言えば、ヤス(山﨑)は怖いもの知らす。ヤスにもよく「いいからそのまま行け、その気になってずっとやってしまえ」と話すんです。最初キャンプのときにも「堂々としていればいいんだ」って伝えました。まあ、その通りやっているんだから、たいしたもんですよ。きっとこれからプロ野球の怖さをもっと知ることになると思いますけど、やられる前からそんなことを考えても仕方がない。とにかく、どんどん行けとケツを叩いています。それにしてもすごいのは最終回にヤスが出てきたときの球場全体の盛り上がり。ヤスが出てくれば大丈夫だという雰囲気が出来上がりつつある。
――あの雰囲気は佐々木主浩さん以来じゃないですかね。
うん、似たような雰囲気になってきましたよね。ただ突き進んでいけばいい。アイツの良さは向かっていく姿勢。それを忘れちゃいけない。失敗したら失敗したでまた考えればいいって伝えているし、今は失敗することは考えなくていい。
――去年プロの怖さを知った三嶋選手も現在はファームですけれども復活しました。三嶋選手に話を聞くと三浦さんのアドバイスが大きかったと言うことですが。
まあしんどくて苦しかったと思うんですよ。昨年の開幕戦でひどい負け方をして、そのあとも思うようなピッチングができなかった。きっと、こんなんじゃないってずっと考えていたと思うんです。それでも投げやりにならずにしっかりと練習をして、去年1年間苦しんだ分、今年、やっと芽が出てきたのかなって。
――下手をしたら潰れていた可能性もありましたよね。リカバリーできた理由はどこにあると思いますか。
やっぱりコツコツやり続けたってことでしょうね。僕から見てもファームで腐らず、やることをやってきた。僕も今までいろんな選手を見てきましたけど、ちょっと1軍で活躍したらできるんだと勘違いをして練習に身が入らなくなる選手がいるんですよ。結局、適当にやってしまい1年目がキャリアハイで終わってしまう。三嶋がそうならなかったのは相当悔しかったからだと思うし、絶対やり返してやるという気持ちを持ち続けてやれたからだと思いますよ。
――三浦選手もこの24年間、苦しい場面に遭遇しています。
まったく勝てない時期があったり、体を壊したり、それが原因でローテーションを途中で抜けてしまったり。また肘の手術をしたり色々ありましたけど、まだやれると思ったし、このままじゃ終われないといった気持ちが自分を動かしていましたよね。やっぱり優勝したいですからね。