「最初からサードへ投げる気持ちがあれば」。巨人・戸郷翔征が悔しい4失点。ソフトバンクは勝ち星先行で好循環【日本シリーズ第3戦】
2019/10/23
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さらに1死満塁と変わると、ここでソフトバンクが動く。1番・川島慶三のところで代打・長谷川勇也が打席へ。長谷川勇は、戸郷が投じた初球をレフトまで運び、勝ち越しの犠飛を放った。工藤監督が「経験豊富なバッターなので、球種を選んで外野までもっていってくれるだろうというのがありました」と信頼の言葉を口にしたとおり、重要な局面で指揮官の起用にしっかりと応えた。
一方、戸郷は、今宮の内野安打で再び満塁のピンチ。ここで柳田悠岐を迎えたが、原監督は戸郷の続投を選択。しかし、柳田に対し4球で押し出しを与えて2点差とされると、さらにデスパイネには左翼へ2点適時打を浴び、2-6と大きく試合の形勢が傾いた。戸郷はここで降板し、高木京介がマウンドを引き継いだ。
その裏、巨人は2死から大城卓三が安打を放つと、前の打席であわや本塁打といった当たりを打ったゲレーロは勝負を避けられて出塁。さらに田中俊太も粘って四球をもぎ取り満塁のチャンスを作り出す。ここで、高木京の打順に代打・重信慎之介が告げられた。だが、重信はバンデンハークに対し2球で追い込まれると、カウント1-2から変化球を振らされ、空振り三振。3者残塁に終わり、ソフトバンクとは対照的な結果となった。
この4回の攻防において両チームの命運を分けたのは、日本シリーズの4戦先勝というルールだろう。
巨人はこの日から始まった本拠地3連戦で最低2勝を挙げなければシリーズ敗退が決定する。敵地で連敗を喫したことを考えると、なんとか3連勝して、再び敵地へと乗り込みたいと考えていたはずだ。そしてそのためにはブルペン陣の温存が不可欠で、先発・高橋の降板が早かったことも災いし、交代のタイミングを見失わせた。
一方のソフトバンクは、本拠地で連勝を飾り、2勝のアドバンテージを持ってこの日の戦いに臨んだ。勝利すれば日本一に王手をかける状況とあって精神的にも優位に立ち、勝ち越したい場面でも、バンデンハークに代打を送る必要がなかった。結果として、バンデンハークは4回を投げ切り、巨人が7投手を使ったのに対し、ソフトバンクは5投手で済んだ。
これでソフトバンク3勝、巨人0勝となった。背水の陣で臨む巨人は、本拠地で巻き返すことができるか。あるいはソフトバンクが3年連続日本一を決めるのか。きょう23日は巨人が菅野智之、ソフトバンクは和田毅が先発予定となっている。
取材・文 森田深志