カープの人気はもはや全国区 上昇傾向にあるNPB観客動員数の要因【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、ここ数年で広島東洋カープを中心に上昇傾向にあるNPB観客動員数についてだ。
2015/06/19
カープ人気が全国に広まる
しかし、さらにデータを調べていくと面白いことがわかってくる。広島の人気とDeNA、オリックス、楽天の人気は全く異なるのだ。
人気上昇中の4球団のロードでの観客動員を見てみよう。各球団の平均観客数と、4球団のロード戦の平均観客動員の差異をまとめた。
平均観客数は、本拠地球場のみの数字を出した。前の表とは数字が異なる。観客数の少ない地方球場の数値を加えると正確な数字が出ないからだ。
球団の平均観客数を1として、4球団の平均観客数の差異を示した。平均観客数を上回った場合は赤字で表す。
一目瞭然、広島はロードで対戦した8球団との試合ですべて、対戦相手のホームでの平均観客数を上回っている。つまり「広島戦」は明らかに観客数が多いのだ。これに対し、他の3球団で観客動員が平均を超えたのは、DeNAとオリックスが3球団、楽天は2球団だけであった。
広島は本拠地だけでなく、ロードでも観客を呼ぶことができるというわけだ。ただ過去のロードの数字を調べてみるとこれほどの観客動員ではなかった。カープ女子を一つのきっかけに、広島の人気が全国区になりつつあることを意味している。
巨人、阪神以外のNPB球団は、これまで地道なローカル・マーケティングで観客動員を増やしてきた。しかしその代表格だったソフトバンク、日本ハムの観客動員が伸び悩む中、広島はローカルだけではなく、全国での人気を博するようになったのだ。
このまま広島が巨人、阪神に続く3番目の「全国区球団」になるかどうかはまだわからない。しかし広島は、若い女性というこれまでターゲットとは思われていなかった客層を掘り起こした。
引き続き、どのような施策で観客動員数を増やしていくのか。各球団の取り組みが楽しみだ。
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