カラバイヨら活躍で注目 他にもいる“お買い得”独立リーグの外国人選手【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、今シーズン急増している独立リーグからの外国人助っ人獲得についてだ。
2015/06/23
急増している独立リーグからの外国人助っ人獲得
今年はNPBと独立リーグの関係が変化した年として記憶されるかもしれない。
昨年オフのカラバイヨに端を発して、ルートインBCリーグからデニング、ペレスとNPB入りする選手が続き、昨日はオリックスがチャベスの入団を発表した。
また、四国アイランドリーグplusの高知にMLBから藤川球児が移籍し、大きな話題となっている。
独立リーグがNPBへの人材供給源、あるいはマイナーリーグ的な補完機能で注目されているのだ。
従来も、ルートインBCリーグ、四国アイランドリーグplusからは多くの選手がドラフトでNPB入りしてきた。人材供給源としては一定の役割を果たしてきた。しかし今回は、日本人ではなく、外国人選手の供給源として注目されている。
外国人選手には、ドラフトがない。必要であれば、いつでも契約ができる。外国人枠の制約はあるにしても、主力外国人選手の故障や不振に備えたリザーブとして獲得するのは有効だ。
しかも独立リーグの選手はMLBやNPBでの経験がない「出世前」の選手が多いため、年俸は非常に安い。
オリックスのカラバイヨは1000万円、ヤクルトのデニングは360万円、阪神のペレスは1000万円、先日のオリックスのチャベスは500万円(すべて推定)。活躍すれば年俸を上げなければいけないが、年俸数億というMLBで実績のある“ブランド外国人”と比べれば、はるかにコストパフォーマンスが良いのだ。
独立リーグ側は、もともとNPBや他のリーグに選手を送り出すことを最大の目的にしているから、NPBに引き抜かれることに異論のあるはずがない。移籍に伴っては一定額の契約金が入ってくるから、むしろ大歓迎だ。
このビジネスの背景には、独立リーグの実力アップがある。
ロッテの角中勝也や、中日の亀澤恭平、又吉克樹、オリックスのマエストリなど、すでに独立リーグから入団して主力になっている選手が出てきている。独立リーグで数字を残した選手は、それなりに計算が立つようになっているのだ。
独立リーグ側も、日本人選手よりも簡単に移籍できる外国人選手の獲得に力を入れている。こちらには外国人枠はないから、何人でも抱えることができる。ルートインBCリーグ、四国アイランドリーグplusにはNPBで活躍しそうな外国人選手はまだまだたくさんいるのだ。
打者、ルートインBCリーグから見ていく。
今季の成績に加え、プロ選手としてのキャリアも紹介した。参考までにシーズン中にNPBに移籍した3選手の成績も紹介する。
なおこれ以外にも外国人選手はいるが、すでに戦力外になったり、移籍したりしている。現在のロースターにいる主な外国人選手の紹介だ。安打数順に並べる。
NPBが獲得に動いた選手はさすがに好成績を上げている。そして3人とも20代と若いというのがポイントだ。そういう観点で見ると、ベネズエラ出身の右打ちの外野手、アンヘル・カスティーヨは有望だ。故郷の大先輩、アレックス・ラミレスコーチの指導で1年目から好成績を上げている。さらに34歳と年齢は高いが、同じベネズエラ出身のメルチャンも高打率を上げている。2人はともにMLB傘下のマイナーでは最上位であるAAAまで上がった実績もある。十分に働くのではないか。