「レアードの後継」ビヤヌエバ加入で生じる、パワーバランスの変化【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#116】
今季巨人でプレーしたビヤヌエバを獲得したファイターズ。三塁手であり、右の長距離砲の加入はレアードの後継として最適だが、それ以上にポジション争いや打順にでも好影響を及ぼしそうだ。
2019/12/08
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今のファイターズに必要なピース
日本ハム球団は12月5日、前巨人所属のクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)と契約合意に達した旨、公式発表した。ファンにとってはひと足早いクリスマスプレゼントだったのではないか。右・右の長距離砲だ。サード守備にも定評がある。巨人では73試合出場、打率.223、打点24、本塁打8と低調な成績だったが、日本野球を1年経験して、これからというところだ。ファイターズはイースタンでもビヤヌエバをしっかりスカウティングしており、その上でゴーサインを出したということだと思う。
誰もが考えるのはレアードの後継という意味合いだ。2019年シーズン、ファイターズはとうとうレアード流出の穴を埋めることが出来ず、長打力不足に泣いた。西川遥輝、大田泰示、近藤健介、中田翔が並ぶ上位打線はともかく、下位がいきなり貧打になってしまう。パンチ力が足りない。単発のピストル打線。「5番渡邉諒、6番石井一成」と若手にチャンスが与えられ、それは見どころでもあったけれど、西武やソフトバンクと比較するとどうしても見劣りがする。
2019年シーズン開幕時の構想では、レアードの穴は「清宮の成長」「王柏融の加入」で埋められるはずだった。が、清宮はケガがち、王は安打製造機タイプでアテが外れてしまった。僕はシーズン中にも右の外国人スラッガーを獲得するだろうと踏んでいたが、そこに関しての動きはなかった。但し、水面下でスカウティングしてなかったわけがない。米球界からも映像資料やリストが届いていたはずだ。が、鎌ケ谷の2軍戦で実見できるビヤヌエバに白羽の矢が立った。
公式リリースで栗山英樹監督が「ビヤヌエバ選手の加入は、今のファイターズが持つ課題にピンポイントで効力を発揮するものと思われます」とコメントしているように、右のプルヒッター&好守のサードという特徴は「レアードの後継」としてまさに最適だ。レアードも最初は打率1割台と低迷し、「守備の人」呼ばわりされたのを栗山さんがガマンして使い続けた。ビヤヌエバの打撃もそのパターンで開花させるつもりなのだ。
ファイターズは巨人より選手にのびのびやらせる。それは大田泰示が実証した通りだ。ビヤヌエバは(おそらく)7番サードくらいのポジションだろう。レアードも最初、下位打線を打った。打率がそれほど高くなくても、たまに四球のランナーを置いて2ランホームランを打ってくれたら貢献度大だ。意外性の打者でいいのだ。栗山さんは間違いなくずっと使い続けるだろう。