「レアードの後継」ビヤヌエバ加入で生じる、パワーバランスの変化【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#116】
今季巨人でプレーしたビヤヌエバを獲得したファイターズ。三塁手であり、右の長距離砲の加入はレアードの後継として最適だが、それ以上にポジション争いや打順にでも好影響を及ぼしそうだ。
2019/12/08
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競争が一気に激化
今日、当コラムが考えてみたいのは「ビヤヌエバ加入でチームがどう変わるか?」だ。サードの定位置がひとつ埋まった。これは売り出しの平沼翔太、ブレークを目指す横尾俊建にとって死活問題だ。考え方は2つしかない。A、ビヤヌエバと競争してサードスタメンを奪う。B、サード以外の生きる道を模索する。Aのコースは例えばアルモンテや加藤政義といった対抗馬を毎年ぶつけられ、そのすべてに勝ってきた金子誠の道だ。Bのコースは平沼ならショート、横尾ならセカンドを狙うことになるだろう。あるいはスタメン野手ではなく、代打屋としてプロで生き抜くことになるかもしれない。
2019年春季キャンプでは「三人衆」という言い方があって、サードの定位置は大田泰示、近藤健介、淺間大基の争いになると見られていた。ビヤヌエバの加入でこの線は完全に消えたことになる。と、必然的に玉突き現象が起きる。現在、外野レギュラーのイメージに最も近いのは左から近藤、西川、大田だと思うが、そうなると清宮、王、淺間、松本剛、谷口が守備につけなくなる。清宮をファーストに回すと中田翔が守備につけない。レフトを近藤、清宮、王で、DHを中田、近藤、清宮で分け合う(もしくは競争する)事態が起きる。パズルのようだ。ビヤヌエバという1ピースを加えただけで、スタメン争いはいきなりホットになる。
それから打順についてもなかなか面白いのだ。このオフのタイミングで、大田泰示と中田翔が打順について言及したのに読者は気づかれただろうか。まぁ、こういうのはニュアンスが微妙で、単に記者に質問されたからコメントしたに過ぎないのかもしれない。が、大田は「それなりの覚悟を持って肚をくくってやりたい。ここぞという場面で頼れる選手になっていけば、4番という席に座れると思う」とはっきり口にした。それに対し中田は「自分も頑張らないといけない。清宮にしても4番を打てる人間は何人かいる。切磋琢磨して、そういうのがチームの強みになる」「そろそろゆっくり6番あたりを打たせてもらえたら。打点さえ稼げればいい」と語った。
つまり、そもそも4番争いはホットなのだ。大田が奪い取るか中田が押し返すか、あるいは清宮が一気に抜き去るか。が、ここにビヤヌエバが1枚加わると、少なくとも「ゆっくり6番あたりを打たせてもらう」などと言っていられなくなる。下位打線の大砲は(おそらく)既に一門据えられているのだ。パワーバランスに変化が生じる。いきなり生々しい感じになる。早くどうなるか見てみたいものだ。ビヤヌエバ獲得は球団のクリーンヒットだと思う。
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