吉田輝星2年目の飛躍へ――郷里のマウンド、先発としての期待【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#118】
2年目の吉田輝星に懸かる期待は大きい。もちろん若きエースとして成長してほしいという気持ちは首脳陣は強いはずだ。今年5月、吉田の地元・秋田で試合が開催されるが、そこで雄姿を見ることができるか。
2020/01/12
秋田開催での先発に期待
その後、スポーツ紙の記事を見てハッとしたのは今シーズン5月の秋田開催だ。5月19日、楽天戦が輝星の故郷秋田で行われる。今年はオリンピックの影響もあって、地方開催の多い年なのだが、この秋田開催はひとつの目玉じゃないか。栗山監督のことだからよっぽどのことがないかぎり、輝星を先発で使うだろう。
輝星は師走の30日、金足農業野球部の同窓会で仲間から「お前今年、野球やってた?」とツッコまれたのが相当シャクにさわったようだ。それなら秋田で、みんなの目の前で、成長した姿を見せてやる。「けっこう秋田の試合のことはみんな気にしていた。そこは自分も意識がある。ギャフンと言わせてやりたいですね」(輝星コメント)
僕は雪のなかのランニングと同じことを思う。微笑ましい。いいなぁと心から思う。吉田輝星のなかに故郷がある。プロ野球の人気選手だけど、秋田の子なんだよなぁ。雪を踏みしめて走ることを基本中の基本としているように、郷里の同級生をギャフンを言わせることがリアルだったりする。それを子どもっぽいとか何とか言うのは簡単だけど、みんな輝星のこういう素朴さが好きなんじゃないかな。
野球の楽しさってひとつにはここのところだ。色濃く故郷を抱えてる選手が郷里のマウンドに立つようなことだ。だって僕はスケジュール表の5月19日に「秋田開催」と書き込んだ。もしかしたら読者は既に有給休暇のダンドリを進めてるかもしれない。4か月も先のことを考え、宿の見当をつけたり、観光情報を探ったりするのは最高の幸せだ。その幸せを輝星のコメントが連れてきてくれた。
今、もう僕はこれを書きながらめちゃくちゃ秋田へ行きたい気分に駆られている。今後、吉田輝星のマウンドは数限りなく見ることができるだろう。何しろ「2023年、新ボールパークの若きエース」を期待してるのだから、じゃんじゃん見られるんじゃなきゃ嘘だ。だから、それは北海道でも見られるとして、「色濃く故郷を抱えてる選手が郷里のマウンドに立つ」はどうだろう? これは秋田へ行かなきゃ見られない。秋田こまちスタジアムで先発するとしたら、高3夏の秋田大会決勝以来だそうだ。今年見なかったらもう意味が変わってしまう。万難を排して見たいじゃないか。
そして1月のこの季節、いちばんふさわしいのはこういう話題だ。キャンプインを待ち、オープン戦を待ち、開幕を待つ、まだプロ野球の(表立っては)始まらない時期に、今シーズンの楽しみを見つける。4か月先の「ギャフン」に思いをはせるのだ。
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