本当の課題は守備にあり? 高津臣吾新監督のもと投手再建を目指すヤクルト、世代交代に注目【データで解く野球の真実】
ヤクルトは昨季59勝82敗で最下位に低迷。新シーズンは高津臣吾新監督のもと迎えることになった。アメリカのほか韓国球界でもプレーするなど、経験豊富な高津監督のもと、投手陣を再建し失点を減らしたいという球団の思惑が見える。だが、どうやらヤクルトの問題は投手陣だけではないようである。
2020/01/27
高齢化が進む外野陣 バレンティンの移籍は世代交代のチャンス?
こうした守備力低下の大きな要因と考えられるのが野手の高齢化だ。ある研究によると、野手の守備力は30歳を過ぎる頃にはすでに低下が始まる傾向があるとされている。この視点で昨季のヤクルトを見ると、青木宣親が37歳、ウラディミール・バレンティン、雄平、坂口智隆が35歳と主力選手の多くが高齢化していた。そして彼らはみな外野手だ。
イラストは過去6年間のNPB延べ72球団で、一軍の打席に立った外野手を平均年齢の高い順に並べたものだ。年齢の平均には加重平均を用いている。加重平均とは、単純に平均をとるのではなく、重みが異なることを考慮し平均することだ。ここでは打席数が多い選手ほど値に反映されやすくなっている。
この加重平均で計算した外野手の年齢が、過去6年で最も高かったのが2018年、そして昨季のヤクルトだ。2018年は平均して34.1歳の外野手が打席に立っていたようだ。若手を起用できていなかった様子がわかる。昨季ヤクルトの外野に飛んだフライがアウトになる割合は12球団ワーストの68.6%。こうしたベテラン外野手への依存が、守備による失点の増加にもつながっていたと思われる。
チームはこのオフにバレンティンが退団。打線の中心として活躍してきた選手だけに戦力低下は否めないだろう。ただ一方でこれまでバレンティンのまずい守備が失点を増やしていたことも事実である。こう考えると、今季は守備力改善を図るチャンスと捉えることもできる。
さらに若い選手の出場機会増は、今季の守備力改善だけでなく今後数年のヤクルトの戦力維持にもつながるはずだ。全員が35歳以上という構成では、ある年一斉にレギュラーが衰えるリスクもある。徐々に世代交代できているほうが望ましい。チームとしては今季のうちに20代のレギュラー外野手を確立したいところだ。
また球団も投手補強だけでなく、守備力強化にも目が向いているようだ。昨季守備力が低くレギュラーを固定できなかった遊撃には、MLBでゴールドグラブ賞受賞経験のあるアルシデス・エスコバーを獲得。結果的にはこのオフは内外野ともに守備力強化を志向する動きになった。これらオフの動きの成果がどれほど失点減につながるだろうか。2020年のヤクルトは転換点を迎えている。
DELTA