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3度のじん帯再建手術を乗り越えた『負けない男』、ヤクルト館山が歩んだ復活への道【新・燕軍戦記#7】

実に814日ぶり──。たび重なる手術により、長らく公式戦のマウンドから遠ざかっていた東京ヤクルトスワローズの館山昌平が、ついにカムバックを果たした。その復帰までの道のりを振り返る。

2015/06/30

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ヤクルトナイン「今日は絶対に勝とう!」

 館山がいよいよ神宮で投げるという試合を前に、ヤクルトナインは円陣で声を揃えた。

「今日は絶対に勝とう!」

 その思いは随所に伝わってきた。

 1回表、2死満塁から中前に抜けようかというゴロを好捕し、「集中してました。どこに飛んできても追い付く、ヒットにはさせないっていう気持ちで1球1球構えてました」と話したのは山田哲人。3回表に同点の走者を三塁に置いた場面で、打者の足元を抜けるようなワンバウンドの投球を、野手顔負けのダイビングキャッチで止めた中村悠平は「あんな捕り方をしたのは初めてです。今日の館山さんは落ちる系(のボール)が引っかけ気味だったんで、あそこはランナーが三塁にいたから(ワンバウンドを)頭に入れといたんです。久々に自分で自分を褒めたいですね」と声を弾ませた。

 しかし、ここを抑えれば勝利投手の権利が生まれるという5回表、館山は高橋由伸に同点3ランを浴びると、続く堂上剛裕にも二塁打を許して降板。2番手の秋吉亮が1死三塁から相川亮二に犠牲フライを打たれ、館山の814日ぶりのマウンドは4回0/3で4失点という結果となった。

 それでも『負けない男』に黒星をつけるわけにはいかなかった。その裏、ヤクルトは巨人・先発の菅野智之から、山田が2ランを放って逆転。6回からはセットアッパーのローガン・オンドルセク、オーランド・ロマンとつなぐと、8回途中には守護神のバーネットを投入し、そのまま逃げ切った。異例と言ってもいい執念の継投は、冒頭の言葉どおり館山の涙腺を直撃した。

「とにかく今は負けないことですね。自分が負けなければチームも負けないですし。とにかくいい状態で(後ろのピッチャーに)つなぐ、そのクオリティを高めていきたいと思います」

 試合後、3シーズンぶりの白星への思いを問われると、館山はきっぱりとそう言った。登板間隔を空けるため、29日にいったん登録を抹消されたが、今後も一軍に帯同する予定。次回の登板はまだ決まっていないものの、『負けない男』はあくまでも「負けないピッチング」を目指す。

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